Z w i l l i n g 8
「ねぇ。」
その日は、いつもと違う始まりだった
その日もまたギリギリで学校に着いた
そしてそんな私に話しかけるのは、涼ちゃんだけのはずだった
「え?」
「怖くなかったの?昨日のアレ…」
「昨日の、あれ?」
話しかけてきたのは、クライスメイト数名だった
一瞬驚いたけれど、聞いてきた内容に納得する
景ちゃんのことね
「別に、殺されそうになったわけじゃないし。」
「それはそうだけど…なんか、凄いね。」
「凄い?」
それから
今まで全く話すことが無かったクラスメイト達から
少しづつ話しかけられるようになった
「あんたのあの行動が身を結んだんじゃない?」
「あれがねぇ…よく分かんないの。」
「まぁ別に嫌じゃないんでしょ?」
「え?」
「話しかけられるの。」
「あー…まぁ、別に。特に?」
「ならいいんじゃない。」
少し変化した環境のことを
涼ちゃんとポツポツと話していた
それは自然と景吾の耳にも入っていった
「。」
「ん?」
「最近、よく話すみてぇだな。」
珍しく景吾の方から私の部屋に来た
私のベッドに腰掛けながら
机に向かう私に、じっと視線を向けて話し出す
「話すっていうか、話かけられるっていうか…」
「陰口も減っただろ。」
「みんな、飽きたんじゃない?」
「…何話すんだ?」
「んー…宿題のこととか…」
「こととか?」
「みんな好き勝手話してて、よくわかなんいよ。」
そう答えて、私はにこりと笑った
本当のこと、あまりみんなの話についていけない
別に不快なわけじゃないけど
「楽しいか…?」
「…」
真っ直ぐな、痛いくらいの視線を向けてくる
私がみんなの輪に入れるか、心配してくれてる?
そうだったら、安心してくれるんだろうか
「私は景ちゃんとこうしてる方が楽しいよ。」
こう言ったら、呆れる?
他の人達は、呆れるだろうか
景吾はバカと言いつつも、笑顔はいつもより優しかった
翌日、昼休み
涼ちゃんが先生に呼ばれていなかったので
先に屋上でお弁当を広げている時だった
「。」
「侑ちゃん。」
「ひとりなん?」
「涼ちゃんは職員室。侑ちゃんは?」
「俺も跡部待ちや。」
「そっか。」
よいしょ、とわざとらしく言いながら
彼は隣に座った
そしてにこ、と微笑みながら、話しかけてくる
「最近、みんなとよぉ話しとるんやって?」
「そうでもないよ。最近また元に戻ってきた。」
「そうなん?なんでや。」
「話が合わない?」
「そんなん、適当やろ。」
「別に、無理して話すことはないかな。」
「無理なん?」
「んー…別に、涼ちゃんとかと、話せてればいいから。」
「俺とか?」
「かな。」
「まぁ、それはそれで嬉しいけどな。」
「そう?」
「俺、好きやし。」
「うん、私も。」
「…ちょお、意味ちゃう気ぃするけど。」
「何が?」
にっこりと私は笑顔のまま返した
彼は開けかけた口を閉じ、
苦笑した
「あ、景ちゃん。」
「ん?あー…跡部。」
「…何やってんだ。お前。」
「別に何もしてへんよー。」
「おなかすいたね。景ちゃんも早く座って、ご飯食べよ。」
景吾はすとんと素直に私の隣に座った
話を聞いていたのか、いないのか
それ以上何か言うことはなかった
私も、それ以上同じ話を続けることはしなかった
特にそこに、意味なんてないのだけれど
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