Z w i l l i n g 6
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このただでかいだけの華美な家も
必要以上に居る使用人も
全て、消えてしまえばいいと思う時がある
無駄に大きいテーブルで食べる夕食の時
心の中で、そう思った
向かいでは、姉が静かに食事をしている
特に会話はない
両親は仕事で家をあけていることなんてザラだった
傍に控えている使用人も、言葉を発することは無い
好きなものが傍にあるのに、手にとれない
大事なものが傍にあるのに、手にとれない
そんな苛立ちを感じた
「景ちゃん。」
「…ん。」
「眉間にシワ寄ってる。」
「…ご馳走様。」
「食べ終わったら、部屋に遊びに行くねー。」
「…ああ。さっさと食え。」
苛立ちを察したんだろう
姉はにこにこ微笑みながら言った
こういう時は、通じなくてもいいのにと思う
「宿題は?」
「やった。つーか、お前に返すその言葉。」
「ははは。いいんだよ、いいんだって私は。」
「やってねぇなら持って来い、見てやるから。」
「いいんだってばーテレビ見るから。」
そう言ってテレビを付けた
明日また居残りでもする気だろうか
どうせ暇だから居残りでいいとか、前言っていた気がする
本当は、勉強できるくせに
姉は、は、やればできるんだ、本当は
なのに、いつも本気でやろうとすることはなかった
勉強だけじゃない
運動だって人並み以上に出来るの筈
なのに、いつも手を抜く、全てにおいて
気づいたら、そうしていた
何故かと聞いてもろくな答えは返ってこない
だからもう、諦めた
「。」
「んー?」
「面白いか?」
「面白いよ。景ちゃんも来て見なよ。」
「違う。学校が…面白いか?」
「学校?お父さんみたいなこと聞くね。」
「…で、」
「涼ちゃんと話すのは面白いよ。」
が陰口を叩かれているのは知っている
一応自分の姉弟ということで、手を出されることはないが
陰湿であることには変わりなかった
守れないのが悔しかった
始めは痛みだけをただ感じていた
けれど、最近はが慣れたのか、それすら感じなくなった
「。」
「今度はなにー?テレビ終わっちゃうよ。」
「こっち来い。」
「…はいはーい。」
しぶしぶというった風に立ち上がり
自分の座るベッドに素直に向かった
真正面に来た時、腕を掴み、そのまま引き寄せる
「わ。」
「…。」
「…どうしたー?」
「どうして同じ歳なんだろうな。」
「…双子だから。」
「知ってる。」
「…はぁ。」
もっと、自分が年上だったら
親の援助なしで、一人で生活する力があれば
コイツをこの家からも、あの学校からも抜け出させることができるのに
「私は今のままで満足だよ。」
腕の中では言う
痛みも喜びも分かるはずなのに
こういう時だけは、の考えていることが分からなかった
「信じてないって顔してる。」
「…」
「だって、今の生活を送っても、逃げ出しても同じでしょ?」
「同じ…?」
「景ちゃんがそばに居る。」
にこ、とは笑った
その笑顔だけは、嘘じゃないと思う
する、と抱きとめていた腕を緩めた
ずるいと思う
普段は、完全に自分が上のようなのに
本当は、全然勝つことは出来なかった
ただ、そばにいてやることと
母親や父親や使用人や友人の誰よりも
一番に、常に思っているという陳腐な台詞しか、言えなかった
ただ、この姉が好きだった
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