Z w i l l i n g 5
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日曜日の跡部家に
姉の友人と
弟の友人が来た
「お嬢様ってドラマの中の世界だけだと思ってた。」
「え?」
「…忍足君も来てるんだって?」
「うん。景ちゃんが、押しかけてきたとか何とか言ってた。」
「ああ、ぽい。」
とくとくと置いてあったカップに紅茶が注がれた
涼は横目でそれを見る
そして注いでくれた女性は、音も無く部屋を出た
「何か、落ち着かない…ね。」
「そう?じゃあ…私の部屋行く?」
「うん。」
「おっけ。」
跡部家は、大きく、豪華で
スキの無い家だと思った
どこもかしこも綺麗で、完璧に整っていた
色鮮やかな花もそこら中に飾られていた
使われているカーテンや絨毯も、暖色系が多かった
それを見た人がどう感じるか、計算されたような創られた美
居心地が悪いわけではない、でも
そんな完璧な家に居る二人は
何より異質に感じた
「あ、あそこ、景ちゃんの部屋だよ。私あっち。」
「ふうん。一番離れてるんじゃん。」
「…そういわれればそうだね。」
「…何、ソレ。」
「お邪魔してく?」
別にいい、と言おうと思ったけれど
家にいる跡部景吾も見てみたいと
好奇心が芽生え、やめた
「景ちゃん。」
「おー、ちゃんやん。お邪魔してます。」
「部活の話し合いだっけ?進んでる?」
「もう終わる。」
部屋にいた忍足侑士と一通り話した後
やっと跡部景吾の方が口を開いた
その様子を見ていて、ふと私は不思議に感じだ
「なんや山田さんもおったんか。」
「…何か。」
「なんでもあらへんよ。噂どおりのクールビューティやなぁ。」
わけわからん、と思い彼の台詞は無視した
それより感じた
この双子の違和感の方が気になった
そしてすぐ解決した
ああそうか
この双子はいつも一緒なんだ
跡部景吾はが部屋に入ってから
「何しにきた?」とか常套句を言わなかったのは
何しにきたか分かってたから
“別に何をしにきたわけでもない”ことを分かってた
そしてがこの部屋に入るのがごく普通であること
私は二人に聞こえないように忍足に話かけた
「ノックしてなかったのに、よく驚かなかったわね。」
「跡部が急に言葉切って、ドアの方に視線やったからな。」
「足音聞こえた?」
「ま、な。俺には使用人か、通り過ぎるだけなのか判断できへんかったけど。」
「まるでドアがないみたい。」
最後の台詞は誰にいうでもない、吐き捨てるようにいった
そう、この双子は
完璧な家にいるくせに、物凄くおかしいのだ
“お互い分かる”のがごく辺り前になってる
行動も、考えも、この双子には隔たりなんてもんないんだろう
精神的にも物質的にも
「涼ちゃん?」
「…ん、ああごめん。なに?」
「景ちゃんから面白そうなDVDかりたよ。」
「そう。」
「じゃ部屋にいこっか。」
やっぱり、は跡部景吾には何も言わなかった
出て行くっていう観念がないんだろうな
いつでもこれて、いつでもいれて、鍵も了解もいらない
「…面白い、アンタ達。」
「え?」
「論文とかかけそう。」
「?」
「ねぇ。」
「何?」
「弟のこと好き?」
「?うん。」
きょとんとしながらも、直ぐ肯定の返事が返ってきた
きっと当たり前の事
おかしくないけれど、とても不思議に感じた
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