Z w i l l i n g 37












引っ越してきたばかりの部屋

最低限の家具を揃えただけで

殺風景で、引っ越してきた時のままのようだった





そんな部屋の中、帰ってきた時の格好のまま

私はキッチンのある部屋に座り込んでいた

腫れた目からはまだしつこく涙が流れていた





孤独感

何度目だろう、これを味わうのは

体が引き裂かれたみたいに痛い





『別れよう』って、言われて

その言葉に、返信も、電話もしなかった

なにも出来なかった




寂しい、痛い、辛い

また何も聞こえない

何か縋りたくても、もう縋るものは何も無くて















インターホンの音がする

いつの間にか疲れて寝ていたらしい、軋む体を起こした





夕陽が入ってた筈の部屋は、もう真っ暗だった

制服も髪もぐちゃぐちゃなまま、顔も酷い

それでも直す気になれず、ため息をついて玄関へ向かった




鍵もしめてなかったらしい

ドアスコープを覗くことなくドアを開けた

誰かを予想していたわけではないけど、そこにいた人物に少し驚く





「どうしたの…幸村くん。」

「仁王に、聞いて。」

「―…部屋を?ふられたことを?」

「…両方、かな。」

「―――…入る?」

「…そうさせてもらおうかな。」




向かい合わせにソファに座り

お互い、何もしゃべらない

じっと、幸村君の視線だけ感じていた





「…こうなった理由は、仁王から聞いた?」

「知ってるでしょ?」

「仁王は何も、聞かれてないって言ってたけど。」

「…うん、聞いてない。」

「―――手塚のこと、好きじゃなかったの?」

「…どういう意味?」





好きだったから、こんなに泣いてる

何が言いたいのか、分からずに

少し睨むように彼を見る





「好きだったら、普通理由を聞くよ。」

「…だから、何?」

「――本当は自分で分かってるんでしょ?」

「何が?」

「…気づいてるんでしょ?本当は、ちゃんは、」

「――――幸村君は!!」





知らない

分からない

彼が何を言いたいか全然わかんない





分からない

意味がない

だって認めたって





「私のこと、好きじゃないの?」

「―――…好きだよ。」

「なら、あげるよ。」





彼は、それ以上何も言わなくて

私はただ、流れる涙をそのままに、じっと彼を見て

彼がそばに寄るのを止めなかった





だって、愛してくれるっていうなら

それを拒む理由なんてなかったから

本当に、彼を好きになろうって思ったから













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