Z w i l l i n g 36









立海着いて、やっと少し落ち着いた

とりあえず携帯取り出し

受信ボックスから名前を探す





手短にかいたメールを送信して

暫く待つ間に、周りを見渡す

いつだか見た、テニス部の部室





はぁと小さくため息を吐いて

ずるずると腰を下ろした

同時に携帯のバイブが鳴る





「今から会いに行ったら困る?」と私は彼にメールを送った

その彼からの返事だった

どうしたのかと心配の言葉と、放課後会おうという言葉





そりゃそうだろうな、普通

もう既にここにいるなんて言えなかった

はぁともう一度ため息を吐く





「こんなとこで一人、どうしたの?」





急にふってきた言葉に

思わず、肩を揺らした

ゆっくり顔をあげれば、いたのは






「あ…幸村、くん?」

「お早う。ちゃん。」

「どうし、て…」

「1限自習でね。外見てたら君が見えて。」

「そっか…」

「…それで、どうしたの?」





何を言えばいいか分からず、黙っていたら

おいで、と彼に手を引かれ、部室の中に入った

思ったより綺麗にされているそこ、促されて椅子に座る





「仁王、呼ぼうか?」

「来ないと思う。」

「…来てとも言ってない?」

「ん…」





携帯を一瞥してから、テーブルの上に置いた

困らせるだけだから、言いたくない

本当は、寂しいのだけれど





「泣きそうな顔してる。」

「…そんなことないよ、授業、戻らなくていの?」

「ほっとけないでしょ。」

「平気だよ、帰るから。」





無理に笑顔を作って、立ち上がろうとした

けど、

…また、驚いて固まってしまった





「辛いなら、辛いって素直に言えば良いのに。」

「ゆき、むらくん…」

「ごめんね。俺、ちゃんの事結構好きみたい。」





ぎゅうと、抱き締められながら

彼はそう言った

耳元で聞こえるその声が、優しすぎて




気づいたら涙が流れてて

でも

それでも





「ごめん…私…」

「…うん、分かってる。仁王のクラス次が自習だと思うから。」

「…」





呼んでくるね。彼はにこっと微笑みながら

直ぐに離れた

何も言えず、ただ視線だけを送った





そらから少しして、テーブルにつっぷしてたら

彼が来た

何を考えてるか分からない表情で





「…どーしたんじゃ。」

「…」





本当は、もっとゆっくり

何でもないように話すつもりだった

けどさっき彼の、幸村君の優しさに触れたせいか





あったことを、景吾のことを

全て話した

彼は黙って静かに、頭を撫でてくれた





それに落ち着いて、とりあえず謝った

彼は気にすんなと言いポンポンと頭を叩かれた

私はそれに安心して、部室を出た





「放課後…」

「今日ミーディングある言うとったから、少し長引くかもしれん。」

「そっか。」

「終わったら直ぐメールする。」

「ん、分かった。」





まだ髪をゆっくり撫でられて

私はただ安心してその手の温もりを感じていた

彼の言葉も疑うこともなく





「…なあ、。」

「…何?」

「もっと、素直になればええ。」

「…?さっき、幸村君にも言われたけど…」

「―――。」





意図が読めなくて、そう応えると

彼は黙って、抱き締めてくれた

普段はほとんど言わない「好き」の言葉をくれた





学校に戻って

涼ちゃんが上手く先生に誤魔化してくれていたようで

謝って、お礼を言った





朝とはうって変わった私に、怪訝そうな顔をされたが

呆れたように笑い返してくれて

そのまま授業を受けた





そして

放課後

彼からメールが来た






書いてあったのは

「別れよう。」

その言葉だけ










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