Z w i l l i n g 33












景吾と私の心はいつもシンクロしていた

辛いことも、楽しいことも全て

だから、常に傍にいるような気がして安心していた





大事な片割れ

大事な存在

大好きな人





でも急にソレはなくなって

何も感じなくなった

ただの、双子になった





怖くて、怖くて

景吾に縋ったけれど

あっさりとその手は離された





『邪魔者』

『いらない子』

散々言われてきた幼い頃の傷





結局私はそうなんだって

一人ぼっちで

悲しくて














「…ここは、静かだね。」

「ん。」





そんな時に、この人に偶然であった

人でごったがえしていた校舎内から逃げてきて

誰もいないテニスコートのフェンスに凭れる





一瞬その強い目が、景吾と似ていると思ったこの人

何を考えているか読めない

何を考えてるかと、気になって仕方なくなる




「…仁王君。」

「…ん?」

「急に、こんなこと言うの、あれだけど。」

「…」

「私と、」




「…俺と付き合わんか?」





言おうとした言葉を、先に言われていた

思わず、見上げていた視線をそのままに

ぽかんとしてしまった





何故か、彼は物凄く悲しそうな顔していた

一瞬、本当にそう思ったけれど

次の瞬間にはもう、あまりみせてくれない笑顔を浮かべていた





「…嫌、か?」

「…ううん、嫌じゃない。」

「そか。」

「ね、それは、ずっと一緒にいてくれるってこと?」

「…そうじゃな。」

「本当に?」

「本当じゃ。」





何度も、何度も確かめる

告白してくれたのは彼の方なのに

私は必死に彼に問う




やっぱり、彼はどこか切なそうな顔をしている気がするけど

それ以上に今は、彼の言葉に必死だった

安心が、ほしかった





「私が、好き?」

「…ああ、好きじゃ。」

「まだ、会ったばっかりだけど。」

「これから知っていけばええじゃろ。」

「そうだね。」

「そうじゃ。」





強い、強い

迷いのない目だった

いつかの、景吾のように





「私も好き。」





何故か、私はそのまま泣いてしまった

きっと、多分、安心と喜びで

抱き締めてくれる彼の手はあたたかかった













「…付き合うことになった…?」

「うん。」

「立海の、仁王と?」

「うん。」

「本当に?」

「そうだよ。」

「…そっか。…おめでとう、よかったね?」





昨日の私のように、涼ちゃんは何度も繰り返して聞いてきた

休み明けの学校、朝イチで報告した

…景吾にはまだ言っていないけれど





あれから、もう文化祭も終わる時間になって

彼は片付けなどがあるからと、別れた

涙ももう止まっていたし、離れてももう怖くなかった





家に帰ってからは、メールも電話もしたし

幸せで、嬉しくて

本当に久しぶりに笑ってメイドさん達とも話していたと思う





ただ、景吾は部活が長引いていたみたいで

さっさと寝てしまった私は、一度も顔を合わせてなかった

そして、決心したことが一つ





「忍足とかには言ったの?」

「まだー」

「向日クンにも?」

「うん。会ってないからね。」

「じゃあ、…弟には?」

「…まだ。話す時間なくて。」





その時、涼ちゃんは凄く怖い顔をしていたのだけれど

その時の私は全く気付いてなくて

ただ自分の言おうと思っていたことだけを言っていた





「あのね、それからね、涼ちゃん。」

「…なに?」




「私、あの家、出る。」














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