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三年前の入学式

お嬢様、お坊ちゃまが通う氷帝学園へと入学した二人は

最も目立っていた





『ねぇ、あれ…跡部財閥の…?』

『うわ…超美形…ってあの女の子、双子!?』

『知らなかった…美男美女ってああゆうの言うんだね。』





桜の木がずらりと並び咲く正門からの道

私はそんな声を聞きながら景吾と歩いていた

人々の好奇と羨望の目線は

他の誰よりも景吾に相応しいと思った





それからというもの

当然のように景吾は女の子に囲まれるようになった

生徒会に推薦され、テニス部に入部し、頭角を表し…





本当についでに言えば

初めは私もそうだった

一応容姿整った景吾と双子であるために





跡部財閥の令嬢という触書も相まってか

男の子からも女の子からも声をかけられることは多々あった

しかし景吾の人気が上がるにつれ、それは減っていった





『可愛いね…アノ子。あぁ跡部君の妹だっけ?』

『双子だって。でも…ありえなくない?』

『でも勉強もスポーツも全然ダメなんだよ。性格もなんか、暗いし。』





この頃はまだなれることが出来なかった言葉

そういう時、私は静かに目を閉じる

そして“感じる”





苛立ちも哀しみも感じない

ああ、大丈夫

景吾は今、元気だ





それで、十分だった

それで十分耐えられた

笑っていられた














「おかえりなさいませ。」

「只今帰りました。」

「景吾さまが自室に来るようおしゃってました。」

「景ちゃんが?分かった、ありがとう。」





そんな昔のことを回想しながら

私は部活後の景吾を待つことなく一人帰ってきた

のんびりしていたら、どうやら先に出た私より早く帰って来てたらしい





「景ちゃん?何か用?」

「何か用、じゃねぇよ。」

「部活お疲れ様。」

「なんで待ってなかった?」

「ちょっと、買い物。メールしておいたでしょ?」

「…。」






今日の事のせいか、少し不服そうに私を見てきた

私は苦笑を漏らしながら、彼の膝に腰を下ろす

普段はあまりしないのだけれど





「…何語の勉強?これ。」

「ギリシャ。」

「一介の中学生には必要ないんじゃないかな。」

「あって損はねぇ。覚えるか?」

「英語で精一杯。」

「嘘言うんじゃねぇよ。」

「嘘じゃないよ。」





そう言いつつも、景吾の機嫌が治っていくのを感じる

侑ちゃんが言ってたな、シスコンって

…まぁあながち間違ってはないかな





「…それってダメなのかな。」

「あ?」

「何でもない!じゃ私は部屋戻るね。」

「…夕飯までに寝るなよ。」

「誰か起こしに来てくれるよ♪」

「俺が行く。」

「じゃあ、宜しくね。」





ひらひらと手を振って、景吾の部屋を出た

過去のことはどうでもいい

こうして、今景吾が笑っていてくれていれば



それで十分










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