Z w i l l i n g 24
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「ふーん…そんなことがあったんだ。」
「…そーなんやけど…どう思う?」
「そりゃアンタ…」
やっぱり、あの時の跡部弟のカンは当たっていたのか
が
誰かに恋をした
「跡部…弟はそん時どんな様子だったの。」
「どうって…見た目はいつもと変わらへんけど。」
「そう。―――んとこ行ってくる。」
「おー…。」
忍足と話していた廊下から
のいる教室に入る
自分の席でぼうっと座っているを見つける
「。」
「…涼ちゃん。」
「シンクロできなくなったんだって?」
「え…あ…」
「忍足から聞いた。昨日のことも少し。」
「そっか…」
そっか、と答えつつ
やはりどこかぼうっとした顔つきのまま
けれど、どこか違和感を覚える表情で
「――そのこと、考えてたわけじゃなさそうだね?」
「えっ」
「跡部のことじゃなくて…他のこと考えてるでしょ。」
「別に…」
「ねえ好きな人、できた?」
直球に、聞く
まわりくどい言い方なんて、する必要なんてないから
本当、余計なお世話だとは思うのだけれど
「…」
「…、不安じゃないの?跡部のこと、分からなくなって。」
「平気…だって景ちゃんが大丈夫だって言ったから。」
「…何て?」
「気持ちが分からなくても、大丈夫だって。いつも傍にいるから。」
「…そう。それで安心したの?」
「――それでいいと思ったから。」
そう言ったの表情は、確かに納得した顔で
好きな人いる、いないの話はそれ以上聞けなかったが
涼はとりあえず、そう、と小さく返しておいた
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涼ちゃんの問いに答えることが出来なかった
だって
自分でも、自分の気持ちがはっきり分からなくて
景吾
やっぱり、分からない
気持ちが伝わってこない
でも景吾は大丈夫って言った、だから
そして
それ以上に
自分の心を占めてる気持ちが大きすぎて
考えられないかもしれない
そう
ただ
今は
「会いたい…な。」
あの人に会いたい
景吾に似ている目を持ったあの人に
あの人がいれば、私は
「――もっと大丈夫になれる気がする。」
過去の記憶ももう出てくることはない
景吾がいなくても大丈夫
だから
「会いたい。」
ひっそりとした放課後の教室の中
窓から見えるテニス部の練習風景を眺めながら
呟いた
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