Z w i l l i n g 22
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「遅いな…。」
跡部のサーブから試合が始まったところで
滝はの歩いて行った向こうを見た
帰ってくる気配はない
探しに行きたいが、この試合もちゃんと見たい
子供じゃあるまいし、大丈夫だと思うのだけれど
試合が進む中、滝は落ち着き無く座った
「何や、跡部おかしない?岳人。」
「あーまだ始まったばっかだけど…」
まだ始まったばかり、お互いラリーの応酬をしているだけだが
どうも、いつもの跡部らしくないというか
忍足達は怪訝そうに、その姿を見る
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自販機に手をかけたまま
私はまだ動けないでいた
ただじっと自分の足元を見つめていた
一度思い出してしまった、過去の断片
抑えきれないソレは、どんどんと溢れ出し
抉る
私は、間違いなく彼と血の繋がった双子
けれど、生まれた時から一緒に育ったわけではなかった
幼い頃は全く別の場所で育った
そこで感じていたのは、ただ、孤独だけ
何をどんなに頑張っても認められることはなくて
自分の価値の無さをただひたすらに感じる毎日で
「…景ちゃん。」
迷惑かけちゃいけない
やっと手を差し伸べてくれた人
安心を与えてくれた人
「何も…分からないよ。」
自分が悪いのだろうか
何も感じない今は
また独り
「ごめんね…」
何の、誰に対する謝罪か分からない
せめて、景吾が見られる所まで戻りたい
そしたら、このしつこく流れる涙も止まるかもしれない
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「跡部君?」
跡部のサーブ
しかし、跡部はボールを握ったまま
動かない
「跡部君…?」
幸村が怪訝そうに声をかける
跡部と試合をするのは初めてだ
けれど、それでも分かる、相手がおかしいことぐらい
次の瞬間ぎょっとしたように目を開いた
そして眉間に皺を寄せる
それくらい、跡部が、この場で涙を流すのは異様だった
「っ…悪い。俺の負けにしてくれ。」
「…どうしたの?何かあるなら、待つよ。」
「…いや、いい。本当に悪い。棄権する。」
それだけ言って、跡部はやっとボールを離す
もう涙は流れていない
ベンチまで足早に戻り、そこにいた忍足が直ぐに口を開いた
「…ちゃんの、姿が見えへんねん。」
「…悪い。」
「いいから、行きや。様子おかしいんやろ。」
「…」
「早よ。」
促されるままに、ラケットをそこに置いて
跡部は走る
途中滝が、が自販機に言ったことを告げた
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