Z w i l l i n g 21











恋をしたらどうなるんだろうか

考えたことがないわけじゃない

ないわけじゃないけれど





恋をしようと思うことも無かったから

結局考えることはなかった

…誰かを常に思うなんて面倒なことだと思っていた





景吾を思うのは特別

思う思わない以前に、自然と流れ込んでくる感情だから

常に景吾のことが手にとれるのは、当然のことで





なのに

なんでだろう

いまは






?」

「…ん?」

「疲れた?」

「あ…ごめん。そんなことないよ、大丈夫。」





どうも意識が別の方に飛んでいっていたようで

滝君にまた、怪訝そうに顔を覗き込まれていた

彼の、仁王君の試合が終わった所だった





「…ちょっと飲み物かってきていい?」

「俺が行こうか?」

「ううん。滝君は見てて。」

「分かった。気をつけて行っといで?」

「うん。」














「―――駄目だ・・・。」





自販機の前で、そう呟きため息を吐いた

少しずつ感じていた違和感

それが、今焦燥に変わるほど、はっきりしてきていた





「なんで…?」





いつも、常に、分かっていたはず

そばにいなくても、安心できたそれ

いつからだろう





「分からない…」





景吾の感情が

届いてこない

景吾が今何を思っているか、分からない





苛立ったり、悲しんだりと特別な感情を抱いてない時でも

平常、という形でその心情は感じることは出来た

なのに、今はそれも分からない





…幸村君と涼ちゃんと出かけた時はどうだっただろうか

…その前は

…最近は 

さっきは?





ぶる、と思わず身震いした

怖い

忘れていた筈の、過去に押し込めた筈の、孤独感






『厄介者。』

『捨てられた子。』

『余計な子。』






傷口を抉る言葉が、頭の中で響く

思い出したくない

今はもう、大丈夫な筈だったのに





一人じゃないから

景吾がいるから





コートではもう、シングルス1が始まってる頃だろう

滝君が心配してるかもしれない

でも、自販機に凭れかかったまま、足は動いてくれなかった


















「幸村部長対、跡部か。」

「いいデータがとれそうですね、柳。」

「柳生、ああそうだな。」

「俺がやりたいんすけど!」

「またの機会だな。」





『第五試合S1の選手は準備して下さい。』

審判の声と共に、両学校の部長がコートに立つ

ネットをはさみ、挨拶をする





「久しぶり、跡部君。」

「…」

「…どうかした?」

「何がだ?」

「…いや。何でもないよ。はじめようか。」

「ああ。」





幸村の言葉に、跡部は何でも無いと言った顔で返す

しかし、少しの苛立ち

確かに、これから試合だというのに、集中出来ないでいた





胸に、鈍い痛みが走っていた

原因は、疑うことない、自分の片割れ

の様子がおかしいことは分かっていた





けれど本人もそれを分かっていないようだった

いや、そろそろ分かり始めたかもしれない

しかし、とりあえずは今日のこの試合に集中したかった





相手は幸村

色々あった事はおいておいても

願ってもいない対戦相手








「ザ・ベスト・オブ・1セットマッチ、氷帝サービスプレイ!!」













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