Z w i l l i n g 20










「…練習試合?」

「はい。」

「ああ、そっか…明日だったっけ。」

先輩、来ますか?」





部活後

景吾を待っていたら

久しぶりに鳳君に話しかけられた





先輩っていつも来ないらしいですね。そういうの。」

「あー…うん。そうだね。」

「じゃあ今回も?」

「うん、そうだね。」





残念そうな顔をする鳳君に

ごめんね、と苦笑しながら答えた

けれど、一つ思いだした





『…練習試合じゃったっけ、お前さんは来るんか?』

『え?』

『来んのか、来るのか。』

『行かな……行くかもしれない。』

『そうか。』





榊先生に頼まれごとをして、立海に行ったあの日

テニス部のレギュラーの人たちと

…彼に会った、そこでの会話





「ごめん。訂正。」

「え?」

「やっぱ、行くね。明日。」













。」

「何?景ちゃん。」

「どうして今日、来る気になった?」





翌日、会場に向かう車の中で

景吾は、昨日は聞いてこなかったことを

ふと、きりだしてきた





「あー…えっと…特別、理由があるわけじゃないんだけど…。」

「…」

「ほら、私今日の相手の立海行ったことあるでしょ?」

「…そうだったな。」

「だから、かな。」





にこ、と少し言葉を濁して答えておいた

景吾は違和感を覚えただろう

でも、なんとなく、その話のことは言わなかった





別に

どうでもいいこと

そう思って


















「始めてやなぁ、試合にちゃん来てくれんの。練習やけど。」

「そうだねー。頑張ってね?」

「勿論や。張り切る出でー。なぁ、相方?」

「俺はいつでも張り切るッ!!余所見すんなよ、っ!」

「はいはい。」





拳を見せる岳人に笑いつつ

皆を見送った

と、思ったら滝君が隣りに来て解説してくれるようだった





「あ、ほら、あれが立海。知ってるんだっけ?」

「あ…うん。」





滝君が指を指すコートの向こうに、一度だけ見た面々がいた

その中で見つける

確か、一番初めにあった柳生君




むこうも気づいたらしく、会釈してくれた

だから私も軽く笑んで、会釈する

それから他の人たちも反応し、手を振ってくれたりもした





「仲いいみたいだね?」

「そうかな?みんな、気さくな人達みたいだね。」

「ふぅん。」





滝君が、ふわりと髪をゆらしながら

不思議そうに応えた

そして気づいたように、また話し出す





「あれ部長だね。」

「え?」

「ほら、一番後ろの人。」

「…ん?」

「幸村精市。」

「…え?」

「それであの帽子が副部長の真田。」

「…」





ちょ、ちょっと待て幸村君!?

聞いてませんけど!

てか景吾は知ってたよね!?



ついでに、真田…副部長!?

顧問っていちゃった…

それで笑ってたな仁王君…!





無駄に動揺する

どうしたの?の滝君が聞いてくるが

説明するのもアレで、なんでもと誤魔化しておいた





「…か、彼が部長さんかぁ」

「部長は有名だね。Jr大会で優勝してる。」

「強い人なんだ?」

「かなりね。勿論君の弟も負けてないけど。」

「…景ちゃん。」





思い出したように、私は幸村君から目をそらし

景吾を探した

まだ長袖を羽織ったまま、榊先生と何かを話していた





「そろそろ始まるね。近くのベンチ行こうか。」

「あ、うん。」

「先ずはダブルスからだよ。鳳と宍戸。」

「あ、本当だ。」





ベンチに腰掛けると、既に両学校のペアが握手をしていた

ルールを簡単に説明してもらい

初めてのテニスの練習試合を観た











「ど?」

「…なんか、早くて、重そう。」

「あはは、抽象的な感想ありがとう。」

「う・・・。でもやっぱ練習とはいえ試合…部活の時とは違うね。」

「そりゃあね。」





どっちが強いとか、弱いとかは分からないけど

ただ、気迫というか、感じたことのないピリピリ感

いつも見てるはずの部員達が、別人に見える





「すごいね。」

「え?」

「ううん…ねぇ…もう景ちゃん、出る?」

「跡部?ちょっと待ってて。」





滝君はそう言ってベンチをたって

みんなの方に歩いて行った

それから何やら聞いて直ぐ彼は戻っきた





「お待たせ。」

「あ・・・ううん。」

「跡部出るって。シングルス1。」

「最後?」

「うん。」

「そう…」





そして、もう一度立海のベンチを見た

そして気付く

さっきまでいなかった彼




あ…と思わず声が出る

滝君には聞こえてなかったみたいだけど

…仁王君





?」

「…なんでもない、試合、見よう。」





目が、あった気がする

でも彼は笑うわけでも、会釈するわけでも

手を振るわけでもなかった





ただ、じっとこっちを見ていた

だから私も、じっと見ていた

試合が始まり、どちらともなく、視線は外れた





審判の声が、コートに響く












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