Z w i l l i n g 2
図書館の窓に張り付き
私はそこから見えるテニスコートをじっと眺めていた
ちなみに私は帰宅部
『何ーアレ。』
『いっつもああやって跡部君のこと見てるんでしょ?』
『あんなのが跡部君の姉弟なんて、跡部君かわいそう。』
ようは、僻みだった
焦がれて止まない私の弟と、いつも一緒にいる私への
血の繋がりには適わない、だからこそ余計、だった
「邪魔だよね、あの子。」
ズキリ
どんな言葉にも慣れた筈の心臓が
少しだけ痛みを感じた
『邪魔』
その言葉だけは、どうしても
慣れることができなかった
幼い頃を思い出すから
自分が嫌いで嫌いで嫌いで仕方なかった
幼い頃の記憶
気持ちが沈んでいくのを感じた時
ふと、景吾と目があった気がした
それと同時に部活は休憩に入ったようだった
鞄が微かに振動した
携帯のバイブだった
先生達が周りにいないのを確認し、取り出した
FROM 景吾
ここに来い。
私はいつもコート際に行って見る事はなかった
それは景吾も知ってる
何故と思いつつも、素直にそのメールに従った
「あれ、だ。珍しいー。」
「がっくん…部活お疲れ様。」
「やん。どないしたん?」
「あ、うん。景ちゃんに来いって…。」
「ふうん?珍しな、ちょお待ってて今呼んで…あ。」
「。」
「景ちゃん。」
部室まで行って、がっくんと侑ちゃんと会った
景吾を呼ぼうとしたところで
その本人が出てきた
「メール、読んだけど、どうしたの?」
「何か言われただろ。」
「え?みんなに?…それはいつものことで、もう」
「一番嫌なことでも言われただろ。」
「…」
言葉は返せなかった
代わりに、ただ困った笑顔を返した
がっくんと侑ちゃんはポカンとした顔をしていた
「お前が痛いと俺も痛い。」
「…うん。」
「分かってんだろ。」
「うん。ごめんね。」
「謝るな。分かってんならとっとと俺のとこに来い。」
「分かりました。」
「…なら、いい。」
少しだけ頬に触れて
景吾は「休憩終わり」と部員達に声をかけた
まさかそれいうために休憩にしたんじゃないよね
なんてことを思いつつ
私はその場から少し離れて見ようとした時
二人に話しかけられた
「…ああ、何や、またシンクロしとったんか。」
「なーんだ。何事かと思ったじゃねぇか。」
「…やっかいだよねぇ。」
「えぇやん?特にシスコンの弟にはな♪」
「あはは、そんなことないよ。」
「あるてー。」
侑ちゃんはそう言ってコートに戻っていった
シンクロ
簡単に言えばそうなのだろうか
私は、彼が怒っている時、意味もなく苛立つ
私は、彼が悲しい時、意味も無く涙が出る
私は、彼が嬉しい時、意味も無く幸せな気分になる
私は、彼が苦しい時、意味も無く心身に痛みを感じる
「一心同体って感じだな、お前らって。」
「…だと嬉しいな。」
「ん?」
「ううん。部活頑張ってきてねー。」
「おう!」
元気いっぱいのがっくんに手をふって
私は残りの部活をそこで見学した
いつも通り、平和な日だった
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