Z w i l l i n g 18
「なんて呼べばいいかな?」
「好きなように呼んでくれていいよ?」
「じゃあちゃん。俺も好きに呼んで。」
「じゃあ、幸村君。」
「名前でいいのに。」
まだあまり親しくないし、と思ったけれど
あまりに穏やかに笑い、微笑みかけてくるので
あはは、と中途半端に笑みを返しておいた
前には景吾と涼ちゃんが2人で歩いている
あの2人そんなに仲良かったっけ?と思いつつ
必然的に私と幸村君で一緒に歩いていた
「彼と双子なんだよね。」
「うん。でもあんまり驚かなかったね?」
「涼から聞いてたからね。携帯の写真も見たし。」
「それはなんか恥ずかしい…」
「可愛かったよ。仲良いんだね。」
「え、あ、うん、仲は、いいかな…」
オトナっぽい人だな
なんだか話していて、普通に褒められたりすると照れる
しかし…どこへ行くんだろう
「今日、どこ行くか聞いてる?」
「特に決まってないんじゃない?」
「涼ちゃんって何気にアバウトだからね。」
「そうなんだよね。」
「クールなとこは景ちゃんと似てるけど。景ちゃんは計画するタイプ。」
「うん、そんな感じに見える。でも相談して決めるタイプではないよね。」
「そうなんだよねー」
くすくすと笑いながらそんな会話をする
…にしても、変な感じ
何故わざわざ四人で…友達増やし?
「あー…あのね、幸村君がいやなわけじゃなくてね。」
「ん?」
「何で、わざわざ今日四人だったのかぁ…始めてだよ。」
「そうなんだ?」
「幸村君も唐突に言われた?」
「んー一応数日前にかな。楽しそうだったから、いいよって。」
「ふうん。」
特に意味なんてないのかな
なら…楽しんだ方がいいよね
ただ、一緒にいるのにこんなに景吾と話さないのも
初めてかもしれない
「とりあえず、喉乾いたからそこの喫茶店はいらない?」
「あ、うん。」
急に振り向いたかと思うと
涼ちゃんが喫茶店をさして言ってきた
甘いものも食べたいし、丁度いいと思って私は了解する
四人ともケーキセットを頼んだ
右隣には幸村君、目の前には景吾が座った
なんだか、少しだけそれに安心する
「ちゃん、俺の少し食べる?美味しいよ。」
「え?…あ、うん、ありがとう。」
「…。」
「…、この後どっか行きたいとこある?」
「…特に、ないけど、涼ちゃんは?」
「映画とかどう?」
「そうだねー。いいよ、映画。何やってるかな。」
幸村君にもらったケーキを飲み込みながら、涼ちゃんと話す
そのまま、最後まで景吾とは話さずじまい
差し出してくれた水に対してお礼を言ったくらいだった
「…これ、見るの?」
「見たかったんだ。ごめんね、俺が選んじゃって。…嫌だった?」
「え、いやっ…別に…。」
「良かった。…跡部君も、良かったかな?」
「…俺は何でもいい。」
「私も見たかったコレ。じゃ、行こう。」
幸村君が代表してチケットを買ってくれた
あぁなんだかデートっぽいなぁなんて思いつつ
映画館の中に入って行く
幸村君が買って来てくれた飲み物を飲みながら上映を待つ
その間も殆ど何も喋らなかった景吾だけど
席は隣りだった、やっぱりそれに安心した
「映画、どうだった?」
「…し、刺激的だったかな?」
「…もしかして、苦手だった?」
「えっいや、ちょっと、怖かっただけだよ?」
見た映画は、海外のホラー映画だった
正直、凄く苦手だけれど、見たい映画があるなら
それを見るのが一番だと思って、何も言わなかったのだ
バイキング形式だった夕食
料理を選んでる時に幸村君とそんな会話をしていた
「今日、楽しかった?」
「え…?」
「…もう2人っきりになれるチャンスないと思うから。聞いときたいなと思って。」
「…うん、楽しかったよ?幸村君は?」
「もう少しちゃんと仲良くなれたらよかったかな?」
「…」
意味深な台詞と、穏やかな笑顔を残して
幸村君は先に行くね、と言って席に戻っていった
そうして何事もなく夕食の時は過ぎていった
「…じゃ、私は幸村に送ってもらうから。」
「うん、また明日学校でね。」
「…なんだか、今日は俺らにつき合わせちゃったみたいでごめんね?」
「そんなことないよ。」
「じゃあ、また明日ね、に跡部。」
「ああ。」
「またね、ちゃん、跡部君。」
「うん、ありがとう。」
2人が見えなくなるまで、見送って
どちらから、何を言いだすわけでもなく
家路についた
「…景ちゃん。」
「…ん?」
「…なんでもない。」
「…今日、楽しかったか?」
「んー…楽しかった、かな?」
「あいつと…幸村と話してて、面白かったか?」
「うん。オトナっぽい人だなぁと思った。」
「…そうか。」
そこで会話が切れて
特にそれ以上お互い何も言葉を発さなかった
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