Z w i l l i n g 15
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「跡部ー?」
昼休みの時間
教室にいなかった跡部を探し
忍足は食堂に来ていた
見つけた跡部は
頼んだのだろう、本日のランチを目の前に
手をつけることなく座っていた
「どうしたん?」
「…何が。」
「なんで今日は食堂なん。」
「別に。」
「じゃ、なんで朝から真っ黒なオーラ纏っとるん。」
「…纏ってねぇよ。んだそれ。」
「素直やないなァ」
忍足はよいしょと腰掛けた
コンビニで買って来たパンとジュースを置く
跡部は黙ったまま、どこを見ているのか
「…気持ち悪いで、跡部。」
「…ああ?」
「うじうじ悩むなんてお前らしない。」
「誰がうじうじ悩んでんだよ。」
「やから、お前。」
しれっと忍足は答える
からかうわけでもなく、目はマジだったので
跡部はため息を吐いた
「ちゃんは、今日おらんの?」
「いねぇ。」
「何で?」
「用があるつって、一緒に食うの断ったからだよ。」
「ちゃんの事避けてるん?何で。」
「…こっちが聞きてぇよ。」
眉間に皺を寄せ、吐き捨てるように跡部は言った
その様子を見て
思ったよりマジな話のようだ、と忍足は思う
「ちゃんと、喧嘩でもしたんか?」
「…してねぇよ。」
「んー…ほんなら、シンクロできへんようになったとか。」
「違う。」
「なら、どうしたん?」
忍足は、極力優しく聞く
今は、何故かこの唯我独尊男が
妙に幼く感じて
「痛いくらい、分かる。」
「…なら、変わらず、安心やないか。」
「…」
「…なんや、ちゃんが、なんか悩んどるとか?」
「違う。」
「…また辛い目に合うとるとか?」
「違う。」
なら、なんやねん。と思ったが、言葉を飲み込む
別に跡部はじらしてるわけではないらしい
多分、跡部の中でも整理できてないのだろう
「…好き。」
少し、間
「ならどうした?」と、もう一度聞こうとしたら
跡部は、ただそう言葉を発した
申し訳ないが、俺はそういう趣味はないで
そう答えようかと思ったが、んなわけないなと考え直す
跡部の目は至って真剣だ
プレーしてる時とか
女の子達がきゃーきゃー言う彼そのものだ
現に今だってちらちら視線感じるし
「あーーー…なんやて?」
「だから、好きつってんだよ。」
「…え、お前が俺を?」
「馬鹿じゃねぇの。」
とっても真面目な顔で
心の底からって感じで言われた
予想通り
「ほんなら…誰が、誰を?」
「が、誰かを。」
「…」
「…」
驚いた
それが、正直な感想
でも、跡部が言うのなら間違いはないんだろう
「…そんな、感情も分かるん?」
「ああ。」
「そうか、跡部も恋ぐらいしたことあるやろうしな。」
「…」
「まぁ、で、なんや。いつから?」
「…多分、昨日。」
「はぁ…誰、やろうな。全然検討つかへんわ。」
や、それは本当に
ちゃんが昨日、誰に会ったかも知らんし
前から知っている人が、それか偶然誰かに一目惚れでもしたか
「…本人に、聞いてみな、分からんな。」
「…ああ。」
「…とりあえず、飯食おうや。休み終わんで。」
「…ああ。」
そのまま全く会話もなく
ご飯の時間を過ごした
そしてどちらともなく席を立ち、教室に戻った
ちゃんに、好きな人ができたから、跡部は沈んでいる
そこには、別に疑問は抱かなかった
シスコンなのは前から知っとる
跡部がちゃんを溺愛しとんのはよお知っとる
その愛が、何の愛か
それは、
「どうでもええしな。」
さて
これはまた
面倒なことになりそうで
「誰やろなぁ…ちゃんの好きな人。」
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