Z w i l l i n g 13
「えーっと…ここか。」
目的地に着く
入ったことの無い他校に、少し緊張をしつつ
足を踏み入れた
職員室に行こうと思ったが
もしかしたら誰かいるかもと思い
テニスコートを探してみた
「…テニスコートは分かり易いなぁ」
ボールの音がする方に足を向ければ
すぐにコートは見つかった
芥子色のジャージを来た部員達が見える
他校の練習風景を見るのは始めてかも
景吾が出る試合ですら、実は見に行ったことはない
いつも様子だけ後で聞いていた
暫くぼうっとその練習風景を見る
人数も少ない気がする
氷帝に比べて、だが
はっと書類の事を思い出し
顧問の先生らしき人はいないかと見回す
まぁ見れば分かるだろうけど
「んー…いそうにないな。同じジャージばっか。」
しかたない、そう思い
職員室に向かおうと
コートに背を向けたのだけれど
「こんにちは。」
「…あ…えっと、こんにちは。」
振り向いて直ぐ
メガネをかけた青年に挨拶された
驚きを飲み込んで、頭を下げ挨拶をする
「コートを見ていたようですが、何か用ですか?」
「あ…あの、テニス部の方ですよね?」
「ええ。」
「私、氷帝学園の跡部といいます。」
まずはちゃんと名乗らなければ
なんて、親に言われたことをきちんと実行しておく
表情が読みづらい、メガネの彼
「…テニス部三年、柳生比呂士です。」
「あ、私も三年です。あ、えっとそれで、」
「はい。」
「顧問の先生いらっしゃいますか?」
「顧問?」
そこまで言ったとこで
今度は別のところから
この目の前の人「柳生」と言う名前を呼ぶ声がした
「彼女は氷帝の生徒か。」
「あ、はい、私そうです。」
「真田だ。榊先生から連絡は頂いてる。」
「真田さん。よかった。」
この人がどうやら事情を知っているようだった
柳生と呼ばれた彼もそれを確かめている
私は茶封筒を出した
「これです。練習試合のことって…」
「わざわざすまなかった。」
「いいえ。」
「間違いなく受け取った。先生へ伝えておいてもらえるか。」
「はい。」
…貫禄のある人だなあ
とりあえず封筒は渡せた
仕事は終わりかな、と思ったのだけれど
「ちーっす!って誰すっすかその人!」
「…静かにこれんのか切原。」
「スンマセン!っで、誰っすか?」
「…あ、あの、跡部、です。」
「どこ校?」
「…氷帝」
「ひょーてー?が何のよ「テニス部の顧問の先生のお使いです。」
突然現れ矢継ぎ早に質問された
髪の毛くるくるした子
助け舟を出すように、柳生君が遮ってくれた
「あ、柳生柳生ー」
「どうしました、丸井君。」
「仁王がいねえんだけど知らね?って…誰それ?可愛い。」
「…唐突に失礼ですよ。」
「え、何で褒めたのに。」
「…」
彼もテニス部か
どんどん人が増えてく気がする
…褒められたの、お礼言うべきなのか
「何、お使いって事はマネ?」
「あ、いえ、」
「切原君、彼女は三年ですよ。」
「えっマジ?え、で、マネっすか?」
「…いえ。部員の姉です。」
「へえ、誰の?」
再び、今度は切原って子と丸井って子
からの質問が始まる
どうしたもんかと少し苦笑を浮かべた所で
「いい加減にせんか!!」
「っ」
「コートに戻れ!」
「「はーい…」」
びっくりした…
本当、迫力のある…
でもチャンスだ
「あの!私、これで帰りますね。」
「ああ、失礼しました部員が…」
「あはは、いえ。」
「わざわざすまなかった気をつけて帰れ。」
「はい、ありがとうございます。」
と、二人に挨拶し
逃げるようにコートを後にした
そのまま直ぐ帰ろうかと思ったけど
他の学校に来るなんて滅多にないから
少しだけ、と思いふらふらする事にした
「あーこの学校にも、屋上あるんだ…」
ふと上を見上げると目に入る校舎上の屋上
あがったら、全体が見えるだろうなあ
ちょうどよく夕焼け、綺麗だし
「マズイかなあ…中入らないといけないし…」
でもこの時間
きっと校舎内の人は少ないだろう
先生とかに見つかっても、一応用はあったから言い訳もできる
本当に、魔が差したと言うか
なんとなく、この時は
いつもより積極的に行動していた
next