Z w i l l i n g 12











「ジローくん、起きて。」

「んー…」

「部活始まるよ。」

「うー…」

「景ちゃんに怒られるよ?」

「えー…」





景吾に、暇だったらジローを探して起こせ

と依頼された、放課後の廊下

景吾は職員室に寄らなければならないらしい





「あー…」

「起きた?」

「うんー…」





正直あまり面識がないのだけれど、ジロー君とは

彼は寝ているか、部活をやっているかだから

まぁでも起きたようだし、いいかなと思ったら





「おんぶしてー…」

「…おんぶですか…」

「いつものようにー…」

「…さすがの私も男の子一人は持ち上げられませんよ。」

「えー…?」





ぱち、とやっと目をあけて(といっても半目だけれど)

じいと見られた

私は彼を覗き込んでいる





「あれー…」

「…」

「跡部―…であって、跡部じゃないー…」

「えーっと…姉のです。」

「あー…あー…ちゃんだ。」




声は、景吾と似ていないと思うのだけれど

目を閉じていた状態で、私を景吾と思っていたのか

…それは、変なの





「なんか、感じが、跡部だった。」

「感じ…?」

「うん。なんか、こう、居る、感じが。」

「(分からない…。)」





まぁ、でもフィーリングで物を言うのは嫌いじゃない

取り敢えず、ちゃんと立たせて

コートまで送ることにする
















「跡部。」

「…はい。あ、榊先生。」

「今、いいか?」

「あ、はい、大丈夫です。」




ジロー君を送り届けた後

また図書館にでも行こうかとふらふらしていた

そしたら、珍しい人に話しかけられた





「何ですか?」

「頼みたいことがあるんだが。」

「頼み…ですか?私に。」

「ああ、この書類を届けて欲しいんだが。」





そう言って、テニス部の顧問である榊先生は

茶封筒を取り出した

お届けですか、と私はそれを素直に受け取った





「生憎、私は用事があっていけない。」

「部員、抜けさせるの可哀相ですもんね。」

「申し訳ないが…」

「構いませんよ。」

「すまない。」

「それで、どこに?」

「立海大附属だ。」





あれ、他校ですか

ちょっと吃驚しつつも

特に用があるわけでは無い





「分かりました。」

「話で連絡は入れてある。」

「分かりました。」

「今度の練習試合のことでな。」

「成程。じゃあ、早速行って来ますね。」

「すまないが、任せた。」





景吾がこちらを見ているのに気が付いて

自分の携帯を取り出し、指差した

メールを送っとけばいい、もしかしたら遅くなるかもしれないから





「立海…電車かな。」





普段乗らない電車に乗り

駅を目指す

確か○○駅だったかな





バスの一番後ろの席に座り

のんびりと揺られた

ただこの封筒を、部員か顧問の先生に渡せばいい

そう思って












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