Z w i l l i n g 11
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「先輩、跡部先輩、一緒に帰っていいですか?」
「…ああ。」「どうぞ。」
言い方は違えど
2人同時に、了解の許可を得た
部活終わりの部室前
「…なんでー?」
「…やる気ねぇんだよ。」
「頑張ってたよ。」
「頑張りました、で全てすむわけねぇだろ。」
「部長は大変だね。」
「別に。」
「景ちゃんらしい。」
ああ、誰かこの2人の会話を通訳してくれないかな
2人の下校にくっついてきたのはいいけれど
2人の会話を聞いて、そう思った
ちなみになんでー?の前に前置きはない
唐突になんでー?から始まった
何がなんで?
「あの…何の話ですか?」
「え?」「あ?」
「あ、やっぱ何でもないです。」
何の話ですか?そう聞いたら
逆に2人に「お前がなにを言っている?」と言う顔をされた
邪魔だとは思われてないようだけれど
「ふー。」
ふと先輩がため息のような言葉を吐いた
待ちつかれたのかな、と先輩の方に目線をやった
けれど特に跡部先輩はなにも言わない
「あ…先輩、疲れたんですか?」
「え?疲れてないよ?何もしてないもん。」
「ガキなんだよ。いつも決まった時間に腹減る。」
「健康体だといって。」
「…おなか、すいたんですか。」
いつも一緒なんだよな
そうだよな、だから分かるんだよな
…そんなわけないだろう
ため息なんて、どんな理由があるか分からない
空腹だけじゃなく、疲れてもいるかもしれないのに
我慢できずに、今度は突っ込んだ
「疲れてたら分かるだろ。」
「…そうですか。」
愚問のようでした、シンクロしてますもんね
跡部先輩も、先輩もそれが当然で、当たり前で
なんだか、俺の方が疲れてきた
2人の会話は全然会話じゃない
主語はないし、略されるし
まぁ2人はいいさ、家でも学校でも一緒なのだから
けれど
2人に彼女や
彼氏ができたらどうするんだろうか
2人は一緒に居る時間の変わり
お互い相手といる時間が増えるだろう
きっと双子の片割れの次に、多い時間を共有する様になるだろう
跡部先輩はモテる、告白もされる、でも直ぐフる
何故かと聞いた事がある
そしたら、疲れるだけだろ、と言っていた
この会話が疲れないのだというのなら
それを先輩以外に求めても不可能だ
だってシンクロはこの2人にしかできないんだから
「…先輩って彼氏いたことありますか?」
「ないよ。」
「…あ、そうなんですか。意外ですね。」
「そう?」
「はい、跡部先輩に似て美人ですし。」
即効返事が返ってきたことに驚きつつ
変な褒め方をしたと我ながら思った
けれど、美人がどうかは置いといて、跡部先輩はかっこいいから
跡部先輩は何も言わなかった
でも、なんか、横顔がめちゃくちゃ怖い気がして
それ以上その会話を続けるのはやめた
でもなんとなく、冗談半分で
怖いもの知らずと言われるかもしれないけど
2人は姉弟なんだし、と思って言ってみた
「俺が先輩のこと好きになったらどうしますか?」
「…それは俺に聞いてんのか?」
「…一応。」
「ねぇだろ。」
「そうですか。」
あながち、冗談ではなかったのだけれど
でも先輩も、面白いこというね、と笑っていた
…そういうえば、最近忍足先輩もフられたんだっけ
ああついでに、跡部先輩の不機嫌の理由は
やる気のない一年、のせいだそうです
どうしても分からなくて後で先輩に聞きました
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