Z w i l l i n g 1











「…い…おい、…」

「ん…あー…もう朝?」

「あと15分で支度できなかったら遅刻だ。」

「…それは大変だねぇ大変だ…」





カーテンが開けられ、太陽光がたっぷりと差し込む

メイドさんがドアの入り口で困った顔をして立っていた

私は寝起きが悪い、結局いつも起こすのは弟だった





「今朝もありがとうね。おかげで助かりました。」

「…いい加減一人でちゃんと起きろ。」

「うーん…朝練の時間とか未知の領域。」

「…アホ。」





車の中で喋る

流れる景色もいつも通り

校門近くになって車が止まる





「おはようさん跡部。」

「おっす跡部!」





後ろから聞きなれた声がする

侑ちゃんと、がくと

くるりと、私達は振り向いた





「お前らはまとめて呼べるからいいな。」

「そぉー?」

「今日も跡部(弟)に似ず可愛ぇなぁ♪」

「あはは、ありがと侑ちゃん。」

「触るな忍足。」





私の肩に触れようとした忍足の手を景吾が叩く

私は笑いながらそれを見ていた

いつもの光景





跡部景吾、と私

二卵性の双子だった

私達はいつも一緒だった












「…今日ちゃんと来たね、おはよ。」

「遅刻じゃないよ。」

「今日はね。ほんと弟と違ってとろいんだから。」

「あはは。」





呆れ顔で、友達の涼ちゃんから朝の挨拶

景吾が朝練の日はちょいちょい遅刻するせい

頑張ってはいるんだけれど



「一時間目の英語の予習はしてきた?」

「…やろうとは、したんだけど。」

「だけど?」

「さっぱりで。」

「弟に聞きなよ優秀な弟に。もう、ほら手伝うからテキスト。」

「邪魔したくないからねー。宜しくお願いします。」





そして私は勉強もろくに出来なかった

苦手科目は多々

景吾は全科目得意とか言ってたねえ





4時間目、体育だった

英語は涼ちゃんに助けてもらったけど

体育は個人競技、なんともならなかった





「跡部ー、50m走11.3。」

「…はぁ、しんど、い…死ぬ。」

「アンタ…小学生以下のタイムよ?」

「精一杯っす…。」





体力皆無、運動音痴

体育の時間はいつもしんどい

景吾は運動神経もいいよなあ…





『…本ッ当あの子って何も出来ないよねー』

『本当にあの跡部君と双子なのー?』

『…間違いなんじゃない?』





クラスメイト達の言葉は、もう慣れた

…いや、学校中の陰口、かな

残念ながら、言われてる事は事実で





「相変わらず煩い連中。」

「涼ちゃん。」

「まぁ、そう思われてもしかたないけど。」

「えー」

「顔は似てるのにね。あんた達。」

「そっくりかな。」

「始めて見た時は似てると思った。」

「今は?」

「性格が顔ににじみでてる。どんくさい。」

「ど、どんくさい…」





二卵性だけど、顔は似ているらしい

ただ正反対な性格なせいか

顔まで違って見えるようで




私と景吾が双子だと気づく人は

滅多にいなかった

でも、それでよかった





景吾は私の自慢だった

私は引き立て役で良かった

それが、幸せだった





私はダメでいい、何もできなくていい

影でなにを言われようと気にしない

…ただ景吾と、血のつながりがあることが



誇りだった










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