私は、跡部がすきで、それで付き合っている
でも所詮
彼に群がる女のひとり
浮気に対する共謀作戦1
あいつはモテる
付き合う前から知ってる
付き合ってからも
彼と付き合うきっかけは、なんてことはない
元々仲が良かった忍足に、丸めこまれる形でマネージャーになった
そして、部長である彼とも関わるようになったから
惚れたのは多分私のほうが先
でも告白してきたのは跡部からだった
惹かれてはいたけど、すぐに返事は出来なかった
だって女に関していい噂をあまり聞かないから
私も暇つぶしに付き合うだけなんじゃないかと
でも忍足に私には本気だと、後押しされた
それで付き合ったけど
よく考えたら、「私には」ってそれはそれでどうなんだ
って突っ込むべきだったかも、しれない
ピリリリ…
ピッ
昼休みの屋上
曇り空に冷たい強い風
そのせいか誰の姿も見当たらなかった
「…もしもし?」
『、』
「遅い、来いって言ったくせに。」
『悪い、部の用ができた。部室の方来てくれねえか。』
「部室?んー分かった。」
昼一緒にということで、屋上に呼ばれていた
最近はバタバタしてて、久しぶりに一緒にだった
天気も悪いし、部室の方が丁度いいかもしれない
携帯をしまい、部室に向かうことにする
そして
あの、場面
「…はぁ…っ」
走った
ああこんなに走るの久しぶり
気持ち悪くなってきた
なんだったんだろうあれ
最低
最低だ
あの後すぐに部室に行った
ドアを開けて目に入ったのは
なんとも、お約束な場面
本当にあるんだこんなこと
彼氏が他の女とキスしてるシーンなんて
どんな陳腐な恋愛漫画だ
…実際は突っ込む余裕もなかったけど
固まってしまって
しっかりそれが跡部だと確認してから、逃げた
逃げたって、私が悪いことしたわけじゃないけど
…結局忍足の言ったことは嘘だったんだろうか
所詮、私は群がる女達の一人だったんだろうか
ああ悔しいなあ
ショック受けてる自分、情けないなあ
浮気されたら殴って直ぐ別れてやるくらいに思ってたのに
目の奥が熱い
本当に悔しい
こんなことで泣きそうになるなんて
廊下の行き止まりで立ち止まる
どこだここ、特別教室棟か
丁度いいや、人もあまり来ない
ひとりメソメソするにはちょうどいい
どうせ、このあとの授業も出来る気はない
跡部と話す気分にもなれそうもない
そう思ってたのだけれど
「…、先輩?」
「…ぴよ。」
誰も来ることはないと思っていた場所で
聞きなれた声が振ってきた
色々と生意気な部活の後輩
「ふざけた呼び方しないで下さい。」
「うん…ごめん、日吉。」
「…何泣いてるんです、こんなとこで。」
こっちのセリフだ
なんでこんなトコに、まだお昼の時間なのに
日吉がいるの
「次、授業でここの教室使うんです。先生に言われて準備に…」
「…あー人くるんだ…じゃどっかいく。」
「…どうしたんですか?」
「…浮気されてないてるの。笑えるっしょ。」
「…面白くありません。」
日吉は知ってる
私が跡部と付き合ってること
てか多分学校の人たちだいたい知ってる
座り込んでいたドアの前
立ち上がらなきゃと思いつつ、動けないでいた
そしたら、日吉も隣に座ってきた
「…慰めてくれんの?」
「…一応先輩だし、一応お世話になってるんで。」
「一応多いなぁ…」
「…しっかりして下さい。」
「…」
そのまま、日吉にあったことを話してみた
誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない
気紛れでも、日吉が隣に座ってくれた事が嬉しかったのかもしれない
「…見せつけたかったのかなあ?」
「…」
すん、と鼻をならしながら
自虐気味に言う
日吉は何も言わない
「やっぱり、他の女と、同じだったかな。」
「…跡部先輩に、直接聞かないんですか?」
「…そうだねえ…でもさ…」
椅子に座っていたのは女の子の方だった
その子に覆いかぶさるように跡部が顔を寄せていた
てか二人っきりで何してたんだ
「…なんか、聞けない。聞いて、どうしよう?」
「はっきりするんじゃないですか。」
「遊びだった…とか、そもそも好きじゃなかったとか?」
「…確かめてみたらいいじゃないですか。」
「だから…聞く気になれない…」
「…怖いなら、別の方法もありますよ。」
「え?」
『俺と先輩がも、浮気すればいい』
そう日吉は言い切った
私はぽかんとした顔で日吉を見た
日吉はいつものように涼しい顔をしていた
「何、言って…」
「もちろん、本気じゃないですから安心してください。」
「いや、安心って…」
驚きに、涙も止まる
日吉はいつになく饒舌で
浮気?え?
「俺と浮気して、跡部先輩の反応見ればいいんですよ。」
「日吉と浮気して?」
「本気なら気にする、本気じゃないなら態度は変わらない。」
「…そ、それは分かるけど…それ日吉に何の得が?」
「別に、下克上の一環です。」
あっさりとそう日吉は言い放った
何が下克上かは、よく分からないけれど
とにかく、本当に私に協力してくれるらしい
私的には
今の気分的には
どうでもいいし、どうにでもなれだったので
だから、私はその話にノった
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