素直になること2
5限目がはじまる
授業が始まるギリギリまで戻ってこなかった
彼に、捕まりたくなくて
あれからエージは屋上に戻ったんだろうか
不二の席は私より後ろの方
私は一度も振り返らなかった
ホームルームが終わる
私は帰宅部
さっさと帰り支度を済ませ、早々に立ち上がった
「!」
「エージ、部活頑張ってね。また明日!」
「あっ、おいっ、ってば!」
本当に、さっさと帰りたいの、だって
…きっとこの後も隙を見て女の子達は
彼にプレゼントを渡すでしょう
後ろでまだ叫ぶエージを完全シカトし
私は周囲見ないように
足元だけを見て、廊下を足早に歩いた
ああ本当今日全然話してないな
そもそも見てもいない、なんて考えてたら
背後からまた声が聞こえてきた
「〜〜〜もーそらのばかっ!」
(…しつこい。てかなんで、エージ)
「待ってってば!」
(いや、別に彼に呼び止めて欲しいわけじゃないけど…)
「―――――――海堂ー!捕まえて!」
(?海堂は私だけど、何言って)
がし
と急に両肩を掴まれた
ぎょっとして顔を上げる
「…姉貴。」
「え、え?何で薫が此処に…」
「エージ先輩に頼まれた。」
「…何を。」
「意地はってるから捕まえろって。」
「…なんで、そこまですんのアイツ…」
どうでもいいかもしれませんが
薫こと、目の前の海堂薫は
私の弟です
「薫には関係ない…てゆか理由も知らずに話に乗るなっ」
「喧嘩したんだろ。」
「え」
「家で顔見てりゃわかる。」
「…薫は私の味方してくんないんだ。」
「してるから捕まえてる。」
「なんでっ」
「文句があるなら、思いっきり不二先輩に言やいいだろ。」
くるりと
掴んでいた私の肩を回し
後ろを向かされた
目の前には、いつの間に来たのか
彼がいた
あ、なんか見たことない顔してる
「、ごめん。」
「……なにがだっけ。」
「プレゼントもらってたこと。」
「いや、誕生日なら当然だし…」
「だけから貰いたかったから。」
「…何矛盾したこと言ってんの。」
ああまた可愛くないこと言ってる
焼きもちなんて可愛いもの通り越してるよ
素直になりたいのに
「姉貴。」
「だから、なにっ肩はなしてよっ!」
「離したら逃げるだろ。」
「逃げたらなんだっていうの。」
「ここで別れたら姉貴みたいな奴、相手してくれう人いねー。」
「だったら薫にもらってもらうからいい!」
「姉弟は結婚はできねえ。」
「じゃあ養え!」
ふしゅうと弟は息を吐かれた
むかつく
どうせ私は姉のくせに全然しっかりしてませんよ
「祝われるのはいいことなのに、それを止めるのなんて、変じゃんっ」
「…、話聞いて。」
「なにを?おめでとうってもう一回言えばいい、むぐっ」
「すんません、不二先輩。コイツ一本当頑固で。」
「…場所変えようか。」
「そうしてくれると。」
弟に、後ろから口を塞がれた
エージはおろおろしている
周りからチラチラ視線を感じる
弟と、恋人だけは冷静で
なんだか恥ずかしい上に、虚しくなって
どうぜ私は頑固で可愛くないですよ
「ぷはっ」
「悪ぃ、姉貴。」
「…っはぁ。…なにさ。」
「?」
「二人して冷静に話しちゃって。どうぜ私が馬鹿ですよ。」
「馬鹿とかじゃねぇだろ。」
「うるさいうるさいうるさい!」
私はばっとしゃがみこみ
鞄に勢いのまま手を突っ込んだ
中からソレを引っ張り出した
「誕生日おめでと。はい、これプレゼント。」
「…。」
「これでもう気兼ねなく、他の人から祝ってもらえるでしょ。」
「姉貴…」
「薫、手、離して。」
不二の胸にソレをたたきつけて
薫にそう言って
緩んだスキに、ダッシュした
泥沼?
あぁもう何やってんだか
ばかやろう、自分
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