素直になること1
はぁと私は小さくため息を吐いた
心の中がもやもやもやもやとしていた
今日は…彼の誕生日だった
彼とは、所謂恋人のことで
普通なら、素直に祝う日
でも、今回は、違う
何が違うって
只今
喧嘩中
きっかけは何てことはない
ただの私の焼きもち、的なやつで
彼が誕生日プレゼントを女の子から貰ってたのを、目撃しただけ
しかもちゃんと受け取ってたのが
無下にできなかったからとはいえ
どうしようもなく、虚しくなってしまったのだ
「人気ある事位…分かってたんだけどなあ。」
加えて閏年とかいう特殊な日なのが余計に悪い
閏年でない日だと、その前後が彼の誕生日になる
だから、私より早く、渡してしまうことがある
だからって、その場面を目撃し
思わず言ってしまったことを
後悔もしているけれど
『…おめでとう。周助。』
『、』
『閏年だもんねー。今日渡されてもおかしくないよね。』
『…そうだね。』
『…本当は今年ないんだし。もう私からはいらないよね。』
投げやりにおめでとうと言い
彼の誕生日を否定するような酷いことを言って
私は、彼の誕生日を終わらせてしまった
そして翌日、今日
私は目も合わせていないし
当然「おめでとう」も、プレゼントもあげていない
同じクラスなのが、今日ばかりはキツかった
「みゅーん。」
「…は?」
「怖ッ。、怖い。」
「うるさい。エージ。」
「なあ〜不二のテンションがめちゃめちゃ低い。」
「…で?」
「…やっぱり喧嘩してる。不二の誕生日なのに。」
「今年ないじゃん。」
「頑固者…いいもーんだ。」
わざわざ私の机まで来て
それだけ言ってまたどこかに行った
テンション低い?…知ったこっちゃない
分かってる、私も悪い
…でも、不二も悪い
なんで、受け取るの
鬱々としながら授業を受け
そのままお昼休みを迎えた
「っ昼一緒に食べよ!」
「…エージ。」
「不二先に屋上行ってるから〜俺らも行こうよ。」
「…でも、」
「〜〜〜〜」
エージなりの気遣いか
不二には多分知らせないで
先に屋上まで行かせたのだろう
…私だって、いつまでも喧嘩してたいわけじゃない
馬鹿らしいし、やっぱり
ちゃんとおめでとうって言いたい
「…わかった。」
「おう♪」
まぁ結局この決断が
余計悪化させることになるのだけれど
本当、心底、私は後悔した
ドアを開け
その光景を見た瞬間
「不二先輩、あの、誕生日おめでとうございます。」
いや、もう、本っ当モテるね
エージは「あ〜…」なんて隣りで間抜けな声だして
私はバッチリ彼と目を合わせていて
何かが、プチンと切れた
それは私の怒りか、虚しさか
次の瞬間は微笑んで口を開いていた
「モテるね、本当。」
「…。」
「あっ先輩、あの、すみませ…。」
「あ、気にしないで。私もう祝ったから。遠慮なく。」
「!」
「じゃ、お邪魔虫は消えます。」
私と不二が付き合ってることは
彼が目立つせいで、周知の事となっている
それが、今は余計に虚しかった
来た道をUターンする
ついでにエージも引っ張っていく
彼がもう一度呼ぶ声がするが、無視した
「なぁ、、ッ!」
「…なに。ああ掴んでてごめん。」
「なあ戻ろうよっ!どーでもいいじゃん後輩とか!」
「どうでもいいから、邪魔にならないようにしたんでしょ。」
「…怒ってんじゃん。」
「怒ってない!私はもう祝ったの!終わり!」
八つ当たりだと分かってる
でも我慢できず、そう叫んで
私はエージからも逃げた
私はもうおめでとうと言った
彼はまた他の女の子からプレゼントを貰っている
十分でしょ
私の役目はもうないじゃない
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