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ぱたぱたぱたと
私は慌しく歩いていた
それもこれも、あの客が来たせいなんだが





同業者…悪評高いホストクラブCassiopeiaの女オーナーの来店
「すっげぇ個人的に楽しみに来ました。」…っていうならまだ問題ない
しかし明らかに正体を隠しているようだったし





何より初心者用の青蝶として相手をした、本来は紫蝶のキヨが
「ここは楽しい?良いお給料もらえてるのかしら?」なんて
遠まわしな勧誘を受けていたことが分かった





そして悪評の一つとして、彼女らが関わった店はろくなことになってないのだ
NO.1が引き抜かれたとか
その店のホスト同士で諍いが起こりだしたとか





しかしそれなりにデカくなっていたため
外ではなかなかCassiopeiaに制裁が下せないでいた
幻霧館はこの通り、少し他と距離を置いているせいで被害にあっていなかったのだが






「つうか、いい度胸してるよ。マジでウチに来るとは。」






ピピと、私は幻霧館を出て庭を歩きつつ、携帯をいじった
この界隈を影で支配してるのはココ…とまで言われている幻霧館、多分
まぁとにかく、ココにちょっかいを出す奴は、誰だろうと







「許さん。…――――あ、もしもし?です。」
『どうした?』
「すいませんオーナー。ウチにちょっかい出してくるバカがいたので。」
『…どこの店だ?』
「カシオペアです。名前は御存知ですよね。いい加減、一言いっておこうかと。」
『構わん。ただし、一人では行くな。』
「ありがとう御座います太郎さん。あ、間違えたオーナー。」
『どちらでもいい。』
「はーい。」
『用件はそれだけか。』
「はい。」
『その件はお前に任せて大丈夫だな。頼んだぞ。』
「了解です。」







プチ
ここでオーナーとの会話は終了
そう、いつだかジローに話したオーナー





幻霧館最高責任者
そしてこれはまだ誰にも言っていないが
現在の私の身元引受人





でも普段はその日の報告を聞くだけで、現場…幻霧館には来ない
だから私が好きかってやってたりしているのだ
小難しい運営は上の人間で







「よし、準備は出来た、と。」
「あ、さん。蝶、集まりましたよ。赤蝶以上でよかったですか?」
「うん。ありがと!」








* *










「――――――――…ってことなんすわ。」
「はしょったね、。」
「そこは突っ込んじゃ駄目よ不二サン。」
「―――つまり、ちょっかい出してきたバカに制裁を下すと。」
「大正解。景吾クン優〜秀〜。」
「うぜえ…」
「で、具体的にどうするの?」






まだ仕事が終わっていない蝶を抜いて
現在ここにいるのは、跡部、不二、忍足、観月、手塚
跡部を除けば皆赤蝶ランクである








「とりあえず、明日の夜外に出て直接いくからカシオペアに。」
「マジで?それ大丈夫なん?」
「はっはっは喧嘩しに行くのでは…多分ないのだから大丈夫だよ。」
「多分って…アカンやん。」
「話し合い、話し合い。で、明日の3時から一時間ほど空いてる人挙手。」
「……。」







挙手した人→不二
…そう都合よくあいてないか、と思いつつ眉間に皺がよる
もともと三人程度に抑えるつもりだったが







「何でその時間なん?ズラせば俺も平気やで?」
「ん、景吾の空きの時間に合わせたの。黒蝶は連れてくつもりだから。」
「成程。」
「あと、じゃあ不二、お願いするね。」
「構わないけど、二人でいいの?」
「んー手塚トカいたらよかったんだけど…威圧感あるから。」
「…悪いな。俺は予約が入っている。」
「そっすよねー。」







取っ組み合いするつもりはないから、別に少なくてもいいんだが
アクマで制裁というか…まぁ用は嫌味を言いにいくだけ
しかしまぁ、相手も相手だし、もしも…の時のためにね






まぁ景吾は代表、トップとして来てもらい…あと不二は笑顔で脅せるし
…もとい、みんな実際基本的な護身術はマスターしてるけど
つか、この中でそういう技術だけを見れば私が一番強いだろうが






白蝶は警護担当でもあるから
腕っ節がそれなりにたっていなきゃ意味がない
私は立場上尚更だ…使う機会は滅多にないが






「しかたない、奇襲作戦だ。」
「「は?」」
「あ、景吾と不二以外は解散。ごめんね疲れてるとこ。」










* *










「で、どうするの?」
「もしもの為にと、あと威圧感・迫力重視でアイツつれてく。」
「…アイツってまさか…本当に喧嘩する気?」
「いきなり手ぇださないでしょー!アイツも。」
「…保障はねぇな。」
「…任せろ。イザとなりゃ私が止める。ってことで亜久津――――――――――!!!!」






バシンっと客室の一つの戸を勢いよくあけた
中では呼ばれた当の本人が熟睡中
こいつ…客室で寝やがって…ちゃんとお客さんの相手してただろうな…







「――…あ゛ー…んだ、うっるせぇな…」
「いやいやいや君、ここで寝るなと何度言えば分かる。」
「…酒のみゃ眠くなるだろうが。」
「はい、だめー。全く…まぁ今はおいといて。ちょっと頼みあんだけど。」
「あぁ…?ちッ…何だよ揃いも揃って…」







くぁと亜久津は欠伸をする
乱れた着物に、腰に巻かれた帯は黄色
この通り、問題児君だ







「外のホストクラブカシオペアに殴りこみに行くから協力しなさい。」
「殴りこみじゃねぇだろ。アホ。」
「本当に喧嘩になるよ?。」
「ナイス突っ込みだね二人とも。」
「…何言ってんだてめぇら…。」
「はいはい目上の人にそんな口を気かなーい。不二は下だけど。」
「ち。」
「とにかくさ、そのカシオペアのオーナーがウチにチャチャ入れてきたわけ。
 で、ちょっくら一言いいに行くからあんたも付いてきて、命令。以上。」
「…命令なら最初から聞くな。めんどくせーな…。」







なんだカンダでちゃんと言うことは聞くのだこの子は
黄蝶はランク最下位といっても、容姿やなんらかが悪いわけではない
ただちょっと一クセあって扱い辛いだけだ
事実そこが良いといって指名するお客さんもいる







ともかく面子は揃った
景吾、不二、亜久津
トラブル処理班完成である







「みんなヨロシクね!」
「…、お前、トラブル処理っつーか、なんか楽しんでないか?」
「…んなことないデスよー!」
「まぁ楽しそうだから、いいじゃない。ココの怖さ、再認識してもらおうね。」
「は、アホくせェ…。」











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