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「色々すまんかったな…」
「いいえー」


新大阪のホーム
オサムさんが見送りに来てくれてた
何度目かの謝罪


「跡部君も」
「自分は別に」
「いや来た時は驚いたで」
「…オーナーにある程度話は聞いてたんで」


私の様子に違和感を覚えた時
先ずオーナーに経緯を確認し
オサムさんを先に探したらしい


「理由はどうあれやったことは許されへん」
「私なら本当に大丈夫ですから」


ガキ共が何かやらかしてるとしたら
親玉を捕まえた方がいいと
というよく分からない考えで


まぁそれで今回は助かったというか
自分がではなくて
問題が収まったという事で


「彼ら、来ないみいですね」
「…」
「もう一度、話はしてみるわ」
「ムリはさせないで下さい」
「無理に来てもらっても困る」
「景吾ってばー」


電車到着もベルが鳴る
長いような短いような
濃かった大阪


彼らの事は気になるけれど
これ以上はどうしようもないし
どうする気もない


電車が入り
オサムさんに別れを告げる
彼らの姿は最後まで無かった



**




「んー何?」


新幹線の座席
東京まで寝ようと思ったところで
景吾に話かけられた


「お前、何考えてた?」
「…閉じ込められたた時?」
「ああ、昔の事以外に」
「景吾って無駄に鋭いよね」
「うるせえ」


はぁとため息をつく
本当、無駄に鋭い
座席を少し後ろに倒す


「私がいなくても、」
「…」
「皆平気だろうなぁって…少し」


やけくそのように吐いた言葉は
本心も混じっていた
『私居なくても、誰も困らないからね』


私はあそこしか居場所がない
私は皆がいなきゃいる意味がない
そのすべてがなかったあの瞬間


昔の記憶とともに
私はいらない存在だと
そう感じてしまった


「アホが」
「もう思ってないよ」
「…ならいい」
「なんか再出発な気分」
「は?」


何故だろうか
改めて昔を思い出したり
昔の気分に浸ったからだろうか


本当に毎度毎度
景吾に助けられている気がする
そして帰る場所を作ってくれている皆に


「それは、お前だけが思ってることじゃねぇよ」
「え?」
「何でも」
「…」


景色が流れていく
聞こえてくる車内アナウンスをBGMに
目を閉じた




**




「はぁ…」


ぱたんと部屋のドアを閉め
ずるずると崩れ落ちた
久しぶりの幻霧館、自分の部屋


いやしかし
疲れた
帰ってからまだほんの数分


総攻撃にあった
いや皆心配してくれてたけどね
心配通り越してキレてる子いたなアレ


まぁ最終的に
ちびっ子組の
お土産は!?に落ち着いたけど


まぁお土産とかすっかり忘れて
結局怒られたけど
ごめん



「うわっ」
「そんな驚かんでも」
「仁王か、ビックリした」
「ノックくらいしなよ」
「あれ不二も」


突然ドアがあいて
いたのは仁王で
と思ったら仁王だけじゃないようで


「ごめんね疲れてるとこ」
「手短に終わらせます」
「観月まで…あー大阪の話?」


さっきは適当に誤魔化したが
やっぱりこの年長組?は
誤魔化せないか


まぁ特に隠すつもりもなかったけれど
なんか睨まれてるのも怖いし
とりあえず色々掻い摘んで話をした


「…貴方、馬鹿ですか?」
「いやそれ景吾にさんざん言われました」
「やりすぎじゃろ」
「まぁ多少反省してる」
…」


心配そうな声色で不二に呼ばれ
ごめんともう一度謝った
もう二度としません


「…貴方が僕たちをここに呼んだんです」
「…うん」
「責任もってちゃんとここに居なさい」
「分かった」


笑顔で答える
眉間にしわを寄せられたけど
納得はしてくれたようで


「これっきりしといてな」
「分かったよ仁王も」
「本当に、皆心配してたから」
「ありがとう、もうしない。」
「うん」


約束
約束、なんて久しぶりに言ったな
あの中学の景吾とした以来だろうか


「おやすみ


三人が部屋を出る
他の年長組には
多分彼らから話されるだろう


もう一度息を吐いて
部屋に転がる
静けさは似ている


あの大阪の部屋と
でも違う
全然違う


ここは
安心できる場所
私の居場所







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