蝶14
「―――そして、仁王が青蝶から紫蝶へ。変動は以上だ。」
「「「有難う御座います。」」」
幻霧館、給料日&蝶の変動報告
滅多に出て来ないこの人も、今日だけは出てくる
幻霧館オーナー、榊
後は店の売り上げ等云々と
この前のトラブルのことを少々
まぁそんなとこで話は終わる
「―――――仁王への着物等の支給は任せる、。」
「はい。」
「あと、余裕があれば青の補充を。来月にはまた変動するだろう。」
「…あら、はい了解しました。お任せ下さい。」
「あぁ。」
以上は蝶達を解散させてからの
私と太郎さんとの会話だ
太郎さんの勘は当たるからなぁ…と思いつつ颯爽と帰って行くオーナを見送った
* *
「はい、、お給料。」
「…んーあのね、岳人、私はママじゃありませんよ?」
「だって銀行嫌いだし。振込みよくわかんない。」
「忍足に教えてもらってるでしょ、さんざん。」
「うー…。」
「もー…忍足―!」
まだお給料を貰ったその部屋で、がやがやする蝶達
岳人はいつものように…私にお給料を渡してきた
いつまでたっても銀行に入れてくることを覚えない、このお子ちゃまは
「何やー。お疲れさんって、褒めてくれるん?」
「いいからパパ。岳人のお給料ヨロしく。」
「えーパパやないし…ってお前、先月一人でやったんやないんか?」
「…えっと先月は、寮の机の中。」
「お前なぁ…」
はぁとため息を吐いて
とりあえず後は教育係である忍足に任せた
多分この分じゃ、ジロー辺りも机が大変なことになってそうだ
「。」
「不二。え、不二も机の中?」
「は?」
「あ、ごめん。間違った。で、どうかした?」
「帯がさ、お酒まみれになちゃったんだよね。しかも匂いキツイやつ。」
「あ…本当だ。じゃ仁王の用意するついでに出すよ。来て。仁王―!!」
帯は必ず身につけなければいけないもの
なので交換頻度も高いので支給制
そして喧騒の中から、紫蝶にあがった仁王を呼ぶ
「なんじゃ、。」
「昇格おめでとう!んで帯支給するから一緒に来て。」
「ありがとさん。…不二はどうしたんじゃ?」
「汚しちゃって。」
「あかんのー。」
「…全くだね。」
―――――…この二人が揃うと
何か空気がピリっとする気がするのは
気のせいだろうか?
「どうしたの?。」「どしたんじゃ、。」
「――――――――…どーもしない。」
* *
「はい紫帯。」
「ん。」
「で赤帯。」
「ありがとう。」
着物等が保管してある部屋で
さっさと二人に帯を支給
そして紫蝶となった仁王には、その他もろもろ支給
「―――――――不二は赤じゃの。」
「そうだね。」
「…上がんのにどんくらいかかった?」
「んー…よく覚えてないけど…半年はかからなかったかな。」
「ふーん…すごいの。」
「ありがとう。」
――――――先生、なんだかやっぱり怖いです。
何だ、何だよ、何さ、君たち
…というか、一方的に仁王が不二を敵視しているような
「は、はーーーい!もらったら解散っ解散っ!」
「…、ちょっとこの後いい?」
「ん?あ、うんいいよ。」
「………んじゃ、俺は帰るかの。」
「ん、お疲れ仁王。また明日ね。夜更かしはダメよー。」
「んなことせんから安心しんしゃい。」
何かスッキリしない雰囲気だが
とにかく手を振り見送って
不二とよく話をする、中庭へ向かった
* *
「ふーん跡部にも?」
「跡部にっていうか、上全般にあんな感じかな。仁王は。」
「今まで居なかったタイプだね。野心もとい向上心たっぷり。」
「ちょっと何しだすか分からないけどね。嫌いじゃないけど。」
「ちょっと不二っぽいね。」
「僕?」
「不二は…ちょっと何考えてるか分からないか。」
「そうかな。」
「そこが魅力。」
「ありがと。」
「どういたしまして。」
へらへらと笑みながら
空を仰ぐ
星は見えない
「で、話って何?」
「あぁ。弟…裕太のことなんだけどね。」
「弟君?今、留学してるんだよね?」
「一時帰宅するんだ。」
「わぉ、久しぶりだね。あ、お休み?」
「そう本当はもっと前に休み申請しなきゃいけないでしょ。でも今回急で。」
「いいよ。先月またお客さん増やしてたし。ご褒美♪」
「ありがとう…。」
ふわりと不二が微笑む
いつも笑んでいるけど、そのいつもよりもっと綺麗な笑み
いい意味で、気が抜けたような
「どうかした?」
「ん?いい笑顔するなって。」
「…にだけかな。」
「お客さんに出したらもっとファン増えるよ。」
「…無理かな。こればっかりは。」
「うん無理はしないでいーよ。」
不二と初めて会ったのは、やっぱり外だった
今よりもっと
仮面のような笑みだった
本来の美貌も合わせて
より仮面味を増していた
それが初めて見た時に思ったこと
綺麗さと冷淡さを兼ね揃えた美人さん
面白かったから声をかけた
それが不二
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