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都会
一言で言ってしまえば簡単
多くの建物、人、物、全てがごった返している所







息苦しい、そう言う人がいる
その為に、テーマパークや緑多き公園、レジャーランド
息抜きの場も多く作られている訳で







しかし、それでも、別に
休息を求める時があり、求める人達がいる
都が暗闇に満ちた時、そこは艶やかに姿を表す






男性が休息を求め行く処
女性が休息を求め行く処
これは、女性が休息を求め行く処のお話










* *











都会、その町中に、異様とも言えるとある空間がある
そこは美しい場所だった
そして多くの女性が脚を運ぶ場所だった






ドーム一個…否、二個、三個分だろうか
高い塀にぐるりと四方囲まれたそこへ一歩はいると
そこは別空間だった







目立つ建物は一つ、和風建築の大きなお屋敷
京の都で見かけるような、美しい建物
そしてその周りには整えられた緑が広がる







電灯ではなく、提灯に仄かに照らされた道が
門からその屋敷までずっと続いている
周りには手入れのこれも行き届いた池、小さな橋、木々、花々が広がる







過去の日本国にタイムスリップしたような感覚に陥る
現代と思わせる物は一切置いていなかった
それは、屋敷に入ってからも同じだった







そこにいる人々は皆、着物を着ていた
長着、羽織、および袴をきちんと着ている者
色無地、浴衣、はたまた甚平を着ている者もいる







玄関に入って直ぐ姿を見せたのは女性
笑顔はなく、無表情で、義務口調で話している
それでも、やはりきている物は着物






見渡しても、中は見事な木造建築
玄関を見ればあるのは靴…というより草履
やはり、現代の社会、外を思わせるような物は一切置かれていなかった









* *











「ここが何かって?」

私は話す

「“幻霧館”」

座布団の上で脚を崩して座りながら

「分かり易く言うと?んーホストクラブとか?
お迎えするのは女性限定ですから。」

肘を膝に置き、手の甲に顎を乗せ答える

「あ、でもここのモデルは遊郭なんだけどね。」

意味ありげな言葉をさらりと漏らす

「ホストクラブ、でも遊郭、それがココ。それ以上説明のしよーがないねー。」









* *









ホストクラブ
男性が女性を迎え、お酒を飲み、会話を楽しむ
ここも同じ、外見は外…ここの門を出た世界とは全く違うが







お酒を飲む、料理を食べる、会話を楽しむ
それ以上に、何かがここにはある
莫大な金額のお金が、ここでは動く―――だからこそ、此処は美しい







揃う人々も当然美しい
そういう場所なのだから
けれど、ただ、過去が謎に包まれているだけ








ここは、一度入ればもう、二度と出られない
ここは、外の世界を捨てた人間が多くいる
それども、ここは、自由








年齢は様々
抱える人数はおよそ20人程度
働く屋敷以外に寮も完備されているという徹底ぶり






異様な世界、それが『幻霧館』







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