私にはクセがある
嬉しかったり、褒めたくなったりすると
条件反射でやってしまう
・・・本当はむやみやたらやらない方がいいんだろうけど
好きな人にだけどか
あぁでも残念ながら
好きな人には、出来そうもない
「あはは、もう、本当バカ。岳人。」
「うっせぇなぁ!」
「あれーそんな口きいていいのー?見せてあげないよ宿題。」
「う…ごめんなさい。」
「うん、素直で宜しい。」
がしがしと私は岳人の頭を撫で
せっかくやった宿題を、自宅の机の上に忘れてきた
間抜けな幼馴染にノートをかしてやる
「…お前ほんっと撫でるよな、いつも。」
「…しょーながないじゃん、癖だもん。」
「さらに撫でるなっ!」
「あはは、可愛い。」
「うるせっ」
幼馴染で、岳人は相変わらず私より小さくて
だから、つい子ども扱いしてしまう
頭を撫でるのは、そうするのが好きだからだ
そしてソレが癖だからだ
「好きな人にやれよ、そういうのは。」
「…そりゃ、できたら素敵ですけど?い、いないし?」
「いるくせに。」
「な、何言って、」
「楽しそうやな。」
「…おー侑士。」
「・・・・!?」
「何騒いどるんー」
「が撫でまくってくる。」
「なんやそれ。」
「岳人!」
…恥ずかしくて、がしっと岳人の頭を掴んでやった
ふりはらわれたけど
ふいに現れた彼、忍足侑士は、楽しげに笑っていた
―――ちなみに岳人と私は同じクラスじゃない
私はこの忍足侑士と同じクラスだ
・・・色々とわけあって、私はいつも、よく、岳人のいるクラスに来る
「あーなんや、岳人、また宿題忘れたんか。」
「やったよ!けどそのノートを忘れたの!」
「間抜けやなぁ。それでまたに助けてもらっとんのか。」
「コイツが暇人だから。」
「な!必死な顔してたから助けてやったのに…。」
「お前はそうじゃなくても、俺のクラスきて、暴れてくだろ。」
「だれが暴れるか!」
変なこと言わないでほしい、この人の前で
・・・ああドキドキする
・・・私が頻繁に岳人のクラスに来る理由
それは、岳人と忍足侑士が仲がいいから
私は同じクラスだけど、岳人という仲介がいなきゃ
彼と話せないから
ええ情けないですよ
でもしょうがないじゃないか
この人前だと、馬鹿みたいに緊張してしまうから
「…あれ、その内容、うちのクラスでやっとったか?」
「え、あ、えっと、うちのクラスでやるのは今日の午後。」
「…アカン、俺も忘れとったわ。」
「お、珍しいじゃん侑士。見せてやろうか〜?」
「ちょっと岳人っ、それ、私のでしょうが!」
ぺんと、また岳人の頭たたいてから
「見せてくれんへん?」と彼に頼まれて
私はあっさり貸した
宿題ちゃんとやってきといて良かった
うん、ラッキー、うん、嬉しい
二人がノートを写すのを、満足げに眺める
「〜よしっ出来た!」
「おーし、えらいえらい。」
「っだーーまた撫でるッ!」
「いいじゃん♪」
「なんでんなテンション高くなってんだよ!うぜっ」
「うざいなんて酷いな〜かわいくな〜い」
「な〜で〜る〜な〜ッ!可愛くなくていいっ!」
いつもみたいな、ノリで
いつもより気分がよくて
岳人の頭をぐりぐりしてやった
「ゆーし、どうにかしてくれよ。」
「なにをー?」
「の撫でグセ。」
「岳人、」
「ええやん。褒めてもらえとるんやで。」
「やだよ、ガキ扱い。そういうのはせめて好きな奴にって思わねぇ?」
「まぁ、せやなぁ。好きな子からされたら、照れくさいけど、嬉しいかもしれへん。」
「だろ。」
はずかしくて、ぎゅと唇を結んだまま
口を挟めなかった
―――好きな人を撫でる?
そんな、夢のような、いや、絶対無理だし
一人、想像してしまって
また恥ずかしくなる
そしたら、パチリと彼と目があって、心臓が跳ねた
「。ありがとさん。」
「!えっ、あ、も、もう出来たんだ」
「あぁ半分はやっとったからな。」
「なんだそっかぁ!えらいえら・・・」
ぴきと私は固まった
しまった
照れを隠そうと
普段どおりになんて心がけようとしたら
つい
本当に、つい
というかほら、岳人の延長線で!
…私の右手は忍足侑士の頭をなでていた
「・・・俺もしてもらえるとは、思わんかったわ。」
「ごごごごごごごごごごごめッ!あ!わっ!」
慌てて手を離した
馬鹿
私
岳人のほうを見たら
にやにやと意味ありげな笑み送られた
むかつく
「。」
「えっ」
「教室、帰ろか。」
「お、もうこんな時間か。じゃーなー。」
「う、うん。」
「。」
「えっな、なに?」
「なでなでしてもらったしな、手でもつないで帰ろか。」
「へ?」
「ほなな、岳人。」
「おー部活でなー♪」
きゅと忍足侑士と私の右手がつながれた
わけわからん、もう
ただ、彼の顔もものすごく満足気だってことだけだ
自惚れてしまう私
結局自惚れでないとわかったのは
それから直ぐだった
それからは遠慮なく、思う存分撫でさせてもらっている
手を伸ばせば、すぐ