「普段の行いが悪い人間が、そう簡単に信じてもらえるわけないでしょ。」




笑顔なく、きつい言葉を一息で言いはなつ

目の前にいるトバッチリっ子は

耳があったら垂れてるだろう

なんて感じにしょぼんとしていた




「ほらほらちゃん〜たいっちゃん恐がってるよ!」

「煩いバカキヨ。なに?むしろあんた誰?」

「ひどっ…」

「どっちが?」

「ごめんなさい。でも本当にほんとに浮気なんかじゃないってば!」

「煩いバカキヨ。」





バカキヨ…私の彼氏である清純は女の子が大好きである

それゆえ、コイツの浮気の定義はむちゃくちゃである

要は好き勝手やってるわけで




「好き勝手なんてしてないよ〜」

「してるでしょ、何度目、女の子と休みにデートしたの。」

「えー…っと…あー…」

「亜久津、こいつシめて。」

「…てめぇでやれ。」

「いや、私犯罪歴のこしたくないもん。こんな奴のために。」

ちゃ〜…ん。」





がらんとした部室をかしきって

部活後三人+私は延々とこれを繰り返していた

というか、この場を作ったのは太一だけど




「太一、なんでわざわざこんな奴のために?」

「えっえっ…だって、千石さんは本当に反省してるです…」

「はー…素直だねー…悪い女の子に捕まっちゃだめよ?」

「つ、捕まらないですっ」




ふーと亜久津は煙草の煙を吐いた

なぜか、付き合ってくれてる…のは有り難いが

一応睨みをきかせておいた




「亜久津。一応まだここ学校だからね。」

「うるせぇ。…ソイツと別れるならとっとと別れろ。」

「…それ見るためにここにまだいるの?」

「じゃあどうすんだよ。毎度毎度騒ぎやがって。」

「…!ごめんっ!!」




会話を遮るように清純が叫んだ

がしっと肩を捕まれ、さっきより真面目な顔で

亜久津の「別れろ」に触発されたらしい




「あ、あくつセンパイっ、先帰りましょう!」

「…」




亜久津は無言で立ち上がった

素直で気持ちわるい

ドアから出る瞬間、一瞬、目があった

何も言わなかったけれど












「…亜久津のこと見ないで。」

「あんたに言われたくない。」

「俺は、他の子は、好きとかそんなん全然ないから。」

「アンタはね。」

「…他の子とはもう、みんな切るよ。」

「新しい子が増えてくだけでしょ。」

「増やさない!」




…本気じゃないことは知ってる

あくまで遊ぶ、の程度だと

それでも、許せないもんは許せない




「無理だよ。他の子なんて。じゃなきゃ。」

「私は清純以外の人でも平気。」

っ」




あ、ちょっと泣きそう(は言い過ぎかな)

私は太一たちが出て行ったドアをじっと見ていた

いや、そこに視線を送っていた理由は特になかったのだけれど




「亜久津見ないでって。」

「見てないよ…ってもういないでしょ。」

「…もう本当にしないから、亜久津に相談だけはやめてね。」

「―…考えすぎ。」

、大好きだよ。」




卑怯だな、コイツは

最後にいつも、屈託ない笑顔でこう言う

…亜久津と私が昔付き合ってたことだって

いつまでも掘り出してくるし





「―はいはい、私も…かも。」

「かも!?」

「…冗談。」
















結局私は許してしまう

彼のその笑顔だけは

私だけに向けられることを知ってるから


は特別