彼は生徒会長でお坊ちゃんで

容姿端麗で、運動神経抜群で

完璧で、何でもできて人気があって …





「…何か用?」

「あ?別に用はねぇよ。」

「なら、とりあえずこの手を離してくれる?」




教室で、友達とご飯を食べていたら

いつの間に来たのか跡部さん

友達はもう慣れたのか、呆れ顔で見ている




…跡部は、ベタベタするのが好きだった

束縛も普通より強いと思う

…まぁ色々と予想外だったわけで





「手だ?」

「肩にまわしてる手。」

「それがなんだ。」

「人前でベタベタするなって言ってんでしょ!」

「いいじゃねぇか。誰か困るんだ?」

「私。」

「…。」





あ、ちょっと傷ついた顔した

そしてそれ以上に不満そう

一応言うことは聞いてくれたけど




跡部とは―彼が部活中、テニスしている姿に私が先に惚れて

勢いで付き合ってくれ!と言ったら即OKだった

そして、なんだかんだで一年以上付き合っている



















「予想外だったわ。」

「ベタベタ好き?」

「そうね。鬱陶しいくらい。」

「…まぁーあれや。愛やな。」

「んふ、迷惑♪」




所変わって、私は跡部の部活仲間である

忍足とくちゃべってる

場所は屋上前の薄暗い階段




本当は屋上に上がりたかったのだが

この前のお昼にテニス部員らで騒いだため

出入り禁止になっていた





「折角、自習だったからサボろうとしたのに。」

「跡部にヤキモチ焼かれんで。俺と2人っきり。」

「忍足がいるからだめなんじゃん。」

「どっかいけ言うん?」

「うん。」





ひどいと、めそめそ嘘泣きを始めた忍足

冗談でしょーとぽんぽん肩を叩いて

しょうがないので教室に戻ろうと立ち上がった




「まぁ、も少しだけええやん。」

「わっ」





きゅっと腕を引っ張られて

何故か私は忍足の膝の上に座らされている

…嘘泣きしてたくせに





「…なに?」

「なかなか座り心地ええやろ?」

「そうでもない…スケベ。」

「腰と足触ってるだけやん!」

「ドスケベ。」

「…今“ド”強調したやろ。」




そういいつつ、ぐっと忍足は顔を近づけてくる

目の前は忍足、下は忍足の足、後ろは壁

…なぁにフザけてるかなぁ




「ほんま可愛いなぁ。跡部にやっとくのもったいないわ。」

「私もそう思うー」

「…否定せんとこが好きや。」

「そりゃどぉも。」

「なぁ。」

「ん?」

「キスせぇへん?」

「…」




そうきたか

本っ当ふざけるの好きだなぁ

楽しげににこにこしてる忍足に小さくため息を吐いた





「い や。」

「なんで?」

「私、跡部の恋人だもん。」

「跡部嫌いなんやなかった?」

「嫌い。ベタベタすんの私あんま好きじゃないもん。」

「やったらー」

「でも好き。」

「…」

「跡部以外に触られたくないの。だから離して。じゃないと…」

「じゃないと?」

「彼にころされるよ。」



腕を組みながら

怒りのオーラを纏いつつ、もの凄く冷たい目で

跡部は私達2人を見ていた




「あちゃー…跡部やん。」

「…よお忍足。」

「いつからおったん?」

「お前、殺すぞ。」

「…殺すなんて、人に言うたらあかんよ?」

「人の女に手ぇだしたらいけねぇって教わらなかったか?」

「…冗談やん。」

「知ってる。」

「しっとるん?」

「お前がに相手にされるわけねぇだろ。」

「…あ、ソォデスカ。」



私はそんな会話をする2人を見て

くすくすと笑った

そしたらフいに跡部が私の方に視線を向けた




。」

「んー?」







ほら


今の



私は、跡部のあの表情が好き

一瞬だけ見せる

いつも自信に満ちた跡部見せる




「…不安そうな、目。」




跡部に聞こえないよう小さく呟く

こんなことを言ったらおこられるだろうけど

私はサドでもなんでもないけど




一瞬だけ、不安げに揺らいだ目をする彼が

あの生徒会長で、お坊ちゃんで…以下略な彼だからこそ

たまらなく愛おしくなる

…変かな、私




「ごめんね。忍足変態だから。」

「それは知ってる。」

「…お前ら、ほんまひどいなぁ…」

「うるせぇ。」

「あはは」

。」

「ん?」

「行くぞ。」

「え?屋上?だって鍵。」

「俺を誰だと思ってる。」














そう言って鍵を指でまわしながら

跡部はいつものように、不敵ににっと微笑む

…まぁ、この笑顔も嫌いじゃないけどね




愛いひと