その笑顔は、嘘






「侑士?」

「ん?」

「どうしたの、ぼーっとして。まだ残ってたんだ。」

のこと考えててん。」

「はは、嘘―。」





その笑顔は、…





「部活、始まるよ?いつまでのんびりしてんのー。」

「んーもう始まってるやろなぁ。」

「…そうだよね。駄目なレギュラーだねぇ。」






既にガランとして

誰もいない教室

今にも泣き出しそうな曇り空






目の前の恋人は、呆れ顔で微笑んで

その笑顔はいつもと同じで

きれいだと思ったのだけれど





彼女には、始めに自分から惚れて

一目惚れして

好きだと言った





彼女の返事は直ぐだった

笑顔で応えてくれた

でも、違った






「…なぁ、笑ってくれへん?」

「え?…えっと、私今笑ってるよー?」

「もっかい。」

「…侑士?」






笑顔が、違う

「いいよ。」と返事したあの時の笑顔から

ずっと、違う





その笑顔じゃない

の笑顔はその笑顔じゃない

きれいだと思ったのはー






「…俺が見たかったんは…その笑顔やない。」

「…どういう意味?」

「ホンマ、悔しいわ。」

「何、言って…」






くいと手を引いて

腕の中にうずめた

華奢な体





恋人は抵抗しない

悲しくて、仕方がなかった

このままで

このままでいられたらいいのに





「好きなら、好きてハッキリ言わんと。」

「ゆーし…」

の笑顔は、どうしても、アイツにしか向かんのやな。」

「―」






好きだった

どこか?と聞かれてもうまく答えられない位に

この今腕の中にいる彼女が好きになっていた






でも一番好きな笑顔は

どうしてもアイツにしか

どうしてもアイツにしか

自分には






「―――――――ごめんね。侑士。…私、」






あぁ言わなくていい

頼むから

最後まで言わないで






は、ホンマに、きれい。せやから、笑って。」






そう言って

もう一度

腕の中にうずめた






ありがとう――






涙声で聞こえたその言葉と

少しのぞいたその表情は

悲しくて、でもとても優しい笑顔で






「――――その笑顔が、欲しかったんや。」






思わず、本音が出た

恋人は、涙を浮かべて微笑んでいた

だから、俺も微笑んだ



つか去ってしまうと、わかってた