「ん〜…」
「?どーした?」
「何か、頭痛いなぁ…と思ってね。」
「まじ?風邪か?」
「ん〜違うと思う…」
大丈夫、と
クラスメイトである岳人に笑いかけた
でもやっぱり頭が痛い気がする
「お昼終わったら体育だぞ。保健室行くか?」
「岳人って優しいねぇ。」
「だってお前に無理させたら、怒られるの俺だもん。」
「あはは…」
そう言う岳人に
私は心配性で、過保護気味な兄の顔を思い出した
そして気づいた
「あ…ちょっと出かけてくる。」
「保健室?」
「ううん。彼のクラス。」
「…跡部―?顔色悪いで?」
「…煩ぇ。」
「なんや、体調悪いんか?」
「少し風邪気味なだけだ。」
覗き込んできる忍足に
跡部は鬱陶しそうに背を向ける
本当は結構ダルいのだが、素直に言う気はない
「無理したらアカンでー部長サン。」
「平気っつってんだろ。」
「が心配するで?」
「…。」
…姉の顔を思い浮かべる
素直に休もうかと気持ちが揺らいだが
プライドが邪魔をする
「…岳人、ついてこなくても大丈夫だよ?」
「いや、途中で倒れられても困るし。」
「あはは倒れないよー。」
暢気に笑う私に
岳人は小さくため息を吐いた
そして目的の教室のドアをあける
「…。」
「…景ちゃん。」
「なんや、岳人、どうした?」
「いや、がさ…」
私は、にこりと笑みながら
跡部の名前を呼んだ
そしてぺたりと彼のおでこに手を当てた
さわさわと視線と囁き声が広まるが
どうでもいい
そんなことは今更のこと
「…どうした?」
「体調悪いでしょう。」
「…」
「何や、跡部やっぱ体調悪かったんか?」
「え、跡部も?もさっきから頭痛いつって…」
「あぁ…なんや、アレか。」
”アレ”
忍足が納得したように呟いた
そして跡部はため息をついた
「隠しても無駄だよー。」
「…忍足。」
「ん?なんや、跡部。」
「早退する。後は任せていいか。」
―“シンクロニシティ”
双子故の偶然
それも、いつものことだった
双子の弟である景吾が体調を崩していると
私の体調にも異変が起こる
今日のように
私達はいつも、気持ち悪い程にシンクロする
景吾の気分が落ち込んでいると
私は原因無く落ち込み
景吾の気分がいいと
私は意味もなく気分が良くなる
それは相手の様子なんてみなくても起こることだった
常に
私達の気分は
同時進行していた
「…了解。はどうするん?」
「私は景ちゃんが治れば治るから、授業受けるよ。」
「駄目だ。」
「え?」
「お前も辛いのには違いねぇだろ。帰るぞ。」
「でも…」
「帰っちまえよ。心配で跡部も休めねぇかもよ?」
景吾はちょっと悔しそうに岳人を睨む
でも図星で何も言えない
私は苦笑を漏らし、素直に従うことにした
「双子も楽やないんやなぁ。」
「あいつらだけ、特別じゃね?」
「景ちゃん、のへの溺愛ぶりは半端やないからな。」
「そーそー。」
そんな残された二人の会話に
二人は帰宅中の道端で
仲良くくしゃみをしたらしい
どこにいても