ガジャリ

跡部の持つ銃に弾が込められる

静かに、その鋭利な冷たい目が私を捕らえる




「死ね。」

「いやいやいや!突然だから!」

「黙れ、覚悟しろ。」

「出来ないッス!!」




ガチャ

ピストルの先がピタリと向けられる

撃たれる…ッ




「あ、跡部の、人殺しーーーーーッ!!」




スパコーン☆



「痛い!」

「痛いじゃねぇ!寝てたと思ったら…誰が人殺しだ。」

「どないしたん。」

「どんな夢見てたんだよ。つかお前勉強しろよっ」




午後から部活がある今日

早めに来て宿題を終わらすことになった

というか赤点組のそらと岳人が

優秀組の二人を巻き込んだだけだが




「もー無理だよー跡部先生―おなかすいたよー」

「お前が言い出したことだろうが。さっさとやれ。」

「ゆーしー俺も腹減ったー。」

「仕方ないなぁ…。じゃ休憩にしよか。」

「ちっ」

「「わーい!」」




本来だったら跡部が買出しなんか行くわけないのだが

今は勉強が優先ということで、跡部と忍足が買出しに行き

私と岳人は少しでも進めとけ、ということで残された




「見て見てがっくーん。駅前でクーポン券もらったんだー」

「あーいいな。これ、ウマそう。一枚くれよ。」

「いいよー。その代わりここの1問、問いて。」

「セコッ」



ぶつぶついいつつも、素直に岳人は問題に取り掛かる

私は口笛を吹きながらカッター片手にクーポンを切り出した

まぁ保護者がいないとこんなもんである赤点組




「あ、そういやさっきなんの夢見てたんだ?」

「んー?あぁあれね…」



さっきみた夢を思い出す

妙に銃の似合う跡部

そして冷たい目でゆっくりと銃口を…




「ひっ」 ザク

「ん?」

「あー思い出すだけで怖い…」

「ちょ!おまっ、手!手!」




手に違和感を感じ

岳人に叫ばれるまま自分の右手を見た

……





「なんじゃこりゃあ!?」

「誰だよ!じゃなくて血ッ切れてる!カッター離せって!」

「痛い無理!離れないよこのこ!!」

「うわっうわっ」



ぎゃーぎゃー騒いでる内に

右手からはポタポタと血が垂れる

見事に二人ともパニクッているわけで




「「わー!!わーー!!」」




がちゃ




「お前ら何叫んどん…」

「…!?何やってんだお前!」

「痛いヘルプ!!」




子供二人がぎゃんぎゃん騒いでるとこに

やっと保護者二人が戻ってきた

血を流しながら血相変える二人にヒきつつも




、カッター離せ…」

「いーーたーーいーー」

「分かったから、ゆっくり手離しい。」

「う…」




やっとカッターが手から離れ

岳人が持ってきた救急箱で、跡部が手当てをしてくれた

痛いなちくしょう…












「あービックリした!跡部にとうとう撃たれたかと思ったよ!」

「アホか!お前は。何の話だ…ったく。」

「ビックリさせへんときやー…」

「俺の方がビックリしたってー」




不気味に垂れた血をふき取って

教科書とノートをよけて

買ってきたコンビニ昼食を広げる




「なんでカッター握り締めとったん。」

「んーあのね、がっくんが何の夢みたんだって聞くから」

「さっき堂々と居眠りしてた時のヤツか。」

「あはははうん。でその夢思い出したらキャーって。思わずこうギュっと…」

「で、だからどんな夢みたんだよ。」




そう言われて

私はスックと立ち上がり

跡部のいる方に体を向ける

そして夢を思い出しつつ、割り箸を持った




『死ね。』

「…は?」

『黙れ、覚悟しろ。』

「…何言ってんだ、お前。」

「それがの見た夢なんか?」

「うん。この割り箸、銃ね。」




そう言って私は跡部に割り箸を指す

不愉快そうに跡部は割り箸を睨み

パシと払った




「痛ッ」

「あ。」

「…大変だ跡部、これ、ご飯が食べれない。」

「…おにぎりなら食えるだろ。」

「ラ、ラップが取れない。」

「…。」




ちと彼は小さく舌打ちをしつつも

跡部は一度手を叩いた罪悪感からか

おにぎりのラップをむいて渡してくれた




「あーでも良かった。」

「あ?」

「銃向けられたのが夢で。」

「…有り得ぇだろ、現実なわけあるか。」

「そうだねー跡部に殺されちゃショックだ。」

「なんでだよ。」

「あ、喉渇いた。」

「…」




跡部はおにぎりのラップをコンビニ袋に捨て

きゅとペットボトルのキャップを開ける

そして渡してくれた




「…優しいねぇ…」

「そんな冷たい人間だと思ってたのかお前は。」

「いやいや。これじゃあ女の子達もオちる筈だと思ってね。」

「…お前以外ごめんだ。」

「え?」

「何でもねぇよ、とっとと食え。」




結局その後、手を安静にということで勉強会はお開きになり

教科書や参考書やらいつもより重い鞄は

跡部が持って一緒に帰ってくれることになった




「なぁゆーし。」

「んー?」

「跡部優しくて気持ち悪いな。」

「…ハッキリ言いよんなぁお前…」

「で、も楽しんでね?あの状況。」

「…目ぇいいやん。岳人。」













そんな二人の呟きがあったとか

なかったとか


だと思う