Z w i l l i n g +
「…まるでぴえろじゃの…」
「そんな卑下しないで仁王。」
「…悪かったな。」
仁王と幸村と、跡部…弟
この妙な組み合わせ
目立つ三人が小奇麗な喫茶店に集っている
「二度と揃わない面子だと思わない?」
「揃いたくもないのう。」
「…」
「まあま。で、跡部調子は?」
「…別に、普通だ。」
はじめ、幸村と仁王が二人
学校の帰り道を歩いていた
そこを跡部の車が通りかかったのだ
…これまでの事もあり
幸村の発案で
少し、お茶する事になったわけで
「…そもそも仁王って本当にちゃんに惚れてたの?」
「…失礼な事言いなさんな。」
「だって。」
「…一目惚れじゃよ。所謂。」
「…あいつにか?」
「ん。」
あの日、屋上で会った彼女
いまにも消えそうなくらい
その目は寂しそうだった
どうしてそんな目をしてるんだろうか
どうしたら笑顔できるだろうか
笑ったら、どんな顔をするんだろうか
どうしようもなく
興味がわいて
気になってしまった
「ほんで、跡部の事知って」
「…」
「知れば知るほど、遠なるわけで。」
「…それは、分かるなあ。」
「からはお前さんが好きっちゅーことしか分からんかった。」
「俺も、結局それ。」
ふうと二人してわざとらしくため息をつく
責められてるとしか思えない空気
理不尽と思いつつ跡部は言い返せない
「つうか幸村も本気だったんか。」
「勿論。まあ俺は最初から諦めてたけど。」
「なんでじゃ。」
「だって、知ってる…?」
幸村は話す
はじめて二人とあったあの日
涼も含め4人でデートした日
ひたすら静かに
そっと
陰で彼女を気遣う跡部
ああ勝てない
彼は本当に彼女が
大事で大事で仕方ないんだって
「愛してるんだなあって…」
「愛ねえ…」
「…そうだな。」
ぽつ、と跡部は呟く
小さく
それでも確かな声で
「…」
「…」
「…何だ。」
「べえっつに?あ、ケーキおかわりしよ。仁王は?」
「する。食わんけど。」
「無駄なことすんな!」
「だってお前の奢りじゃろ。」
「おごりだよねえ。てかもう全部買い占める?」
「ええのう、それ。」
「〜〜ッ」
好き勝手話をすすめる二人
大きなカリがある故
眉根に皺を寄せることしか出来ず
でもいい加減、無視して帰るかと思う
「…もう、好きにしろ。払っておく。」
「さすが跡部。」
「ごちナリ。」
「…調子に乗るなよ。」
「あれ本当に帰るの?」
「…心配してる。」
「あ」
片割れには
直ぐ帰ると言ってある
心で様子を感じれば
「シンクロ…戻ったんじゃな。」
「…俺はずっと分かってた。」
「の方が。」
「…ああ。」
仁王は目線を合わせない
じっと紅茶の入ったカップに視線を落としたまま
跡部はそれ以上になも言わず、立ち上がる
「跡部。」
「…何だ?」
「二度と離すんじゃなか。」
「…」
「次やったら、本気で捕まえるけんの。」
「…ああ。」
幸村に視線を変えれば
にっこりと、俺の言いたいことも分かってるよね
と、言わんばかりの笑顔を向けられた
「俺は道化師じゃのうて詐欺師じゃ。」
「…だから何だ。」
「どんな方法を持ってしても落とすぜよ。」
「…そりゃ怖えな。」
「俺なんて神の子だしねえ。」
「…その台詞はやめんしゃい。」
「なんで?」
「「怖えよ。(い。)」」
ポケットで携帯が振動する
見なくても誰かは分かる
会計を済ませ、跡部は店を出る
「…どうした。」
『景ちゃんこそ。』
「ちょっと寄り道してただけだ、直ぐ帰る。」
『違う違うー。』
「?」
『なんか苛ついたり、楽しそうになったりしてたでしょ。』
「…んなもん感じとんな。」
『えー?』
「直ぐ帰るから、また後でな。」
『はーい。』
幸せを、感じる
end