優越感?
「…侑士、何やってんのお前。」
「そないに、冷たい目で見いへんといて。」
「だっしぇー、あ、かんだ。」
「可愛いないで。」
「うっせ!」
じっとと仲良しコンビが話すのを私は見てた
本当に珍しい光景だと思う
二人が話してるのが、じゃなくて
「あのー…大丈夫?膝。」
「―――平気や。全然。」
「ぷ。」
「何笑っとんねん、岳人。」
「別にぃ…。」
忍足君が、転んでいた
転んで、膝小僧を擦りむいていた
保健委員として、とりあえず声をかけたんだけど
「傷なんてなれっこや、心配せんでえーよ。」
「そう?」
「駄目だって。ーコイツ保健室に連行。」
「あ、うん、分かった。」
「…」
ちなみに今は2クラス合同の体育の時間でした
さすが忍足君だね、ちらちら周りから視線を感じるけど
指名を受けた以上、保健室に連れてかせて頂きます
「とりあえず、洗おうか。砂ついてる。」
「濡れタオル?」
「うん。じっとしてて。」
「ん。」
「消毒するね。しみると思うけど。」
「…」
「頑張るね。」
「…三年生やからな。」
「見えないけどねー」
「…」
思ったことを素直に言ったら
忍足君がなんともいえない面白い表情をしていた
よし、消毒完了
「滅菌ガーゼ。絆創膏。―――よいしょ。」
「…なんや…変な、優越感…やな。」
「…優越感?手当て…させてるって感じ?」
「させてる、やないんやけど。してもらってるーってのが。」
「んーー…ん?」
「分からんでえぇよ。ごめんな、変なこと言って。」
にこと、忍足君は笑った
言ってることは分からなかったけど
いいと言ってたし、私は笑い返しておいた
「はい、完了。」
「…おーきに。て、ちゃんも怪我してへん?指。」
「あ、本当だ。擦りむいてる。いつだろ?」
「ちゃんもさっきこけたてたやろ。」
「こけかけた、だよ…。」
「――あ〜…んで、手ぇついた時やな。」
「だねえ…まあたいしたことない…」
すっと、忍足君は私の手をとり
さらさらと手際良く手当てしてくれた
―――これは、さっきも自分でやった方が早かったんじゃ?
「手際いいね…私、より全然。」
「――それがえぇねん。」
「なんで?」
「長く、手当てしててもらえるやろ。」
「優越感?」
「ええ感じや。」
「えー感じ。あははカッコイなー関西弁。」
忍足君はそう?と言いながら
笑った
んで、手当て完了
「ありが…おおきに?」
「はは。気に入ったみたいやな。」
「忍足君が言うと、なんかいい感じ。」
「―――なら、いつでも聞かせてあげるで。」
「でも怪我は駄目だよ。」
「……ラジャ。」
ちょっと驚いた顔をした後
忍足君は笑った
―――なんだか少し、優越感が分かった気がする
…いい感じの優越感
end