クリスマス賛美歌独唱
きよし、この夜
なんとまぁ似合うオトコがいたものだ
“Silent night! Holy night.
All is calm, all is bright――― “
“Stille Nacht” * Joseph Mohr
「じゃあ、貴女は僕の声に聞き惚れたってことですか。」
「はい。とっても綺麗でした。」
「歌が?」
「んー歌声とはじめが。」
そう応えたら、観月は蠱惑的な笑みを浮かべた
ドキリとする
付き合って暫くたっても、この笑みだけは慣れない
「あーでも…」
「でも?」
「はじめって賛美歌似合わない。」
「はい?」
「神様のことなんて信じてないでしょ?」
誰もいない
ひんやりとした、校内の片隅にある教会
夕日が差し込み、十字架の前で佇む観月に当たる
「…はじめは、口開けば毒しか出てこないもんね。」
「毒蜘蛛じゃあるまいし。」
「蜘蛛って毒は吐くの?」
「知りません。」
似合わない
天使の皮被ってるってゆーか
この中身と外見のギャップが激しいオトコは
「ところではじめ、イースターって何?」
「…、貴女本当にここの生徒ですか?」
「…冗談だってば…少しは勉強したもん。」
はじめに会うまで、この手のことは全く興味なくて
宗教行事も適当に参加してきた
けれどたまたま出たクリスマス礼拝で、はじめを見た
一目惚れだった、多分
「―――イースター…復活祭。
十字架にはりつけられ死んだJesus・Christが三日目に蘇ったことを記念する日。
“復活の主日” 」
覚えた些細な知識を披露してみせる
はじめにとっては当然、既知の事実だろうが
――無表情で、彼は私を見つめてくる
「ちょっとは勉強したんだけど…ダメ?」
「何がダメなんです?」
「…こんなこともしらない子は嫌いかなぁ…って。」
「…バカですね。」
観月はそう言って私の椅子方へ近づいてきた
私の前の長椅子の背に凭れ
教会のステンドグラスを見上ている
「天使ですか…」
「え?あぁステンドグラス…天使なんだ、あれ。」
「天使って何か知っていますか?」
「神様の・・・遣い?」
観月は、私の座る長いすの背に手を置き
ゆっくり顔を近づける
思わず、腰を引いた…下がれないけど
「、黙って笑っていれば天使のように見えますよ。」
ばっと顔に朱が走る
からかってると分かっていても、その台詞は
観月は私の反応を予測していたのか、楽しそうに笑う
「か、からかうなっ…」
観月は、また蠱惑的な笑みを浮かべていた
悔しくて、赤い頬そのままに睨みつけた
そしたら
「可愛いのは、事実ですけどね。」
「―ッ」
「どうかしました?」
「…いいえ、ありがとう、ございます。」
「どういたしまして。」
この人には、適わない
多分ずっと
僕だけの天使