やされた手紙と









「すまないさん!やっぱり君とは付き合えない!」

「…は?」

「何も言わないでくれ!」

「…ええ?」





昼食を済ませ、化粧室に行き、教室に戻る途中

いきなり呼び止めてきた彼はそう言った

私はぽかんとその彼を見る





『せめてもの僕のお詫びの気持ちだ…』

そう言い残して彼はダッシュで去っていった

何事だといわんばかりの周り視線を、私は一人感じていた













「不二。」

「何?」

「告白した覚えの無い人に、フられたんだけど。」

は隙が多いからだよ。」

「ええ私が悪いの!?」




さっき起こった珍事件を

同じクラスの不二君に

机をつき合わせながら報告した





「それで、その手に持ってるものは?」

「手紙?『せめてもの気持ちだ』って別れ際に渡された。」

「ふぅん。読みたい?」

「いや、別に…」





貸して、そう言って不二はその手紙を奪った

そしてどこから、てか何のために持っていたのか

おもむろにライターを取り出した





「ちょ、ライターなんて、何で持っ」





カチ



メラメラメラ・・・・





文字で表すならこんな感じだろうか

あんぐりと口を開けたまま

私は不二の行動を見つめていた





燃えさかる手紙

指で持つ部分ギリギリまで焼いて

不二は灰となったそれを、傍の窓から捨てた





「いい度胸だよね。」

「へっ・・・」

「僕のに手出すなんて。」

「…ふ、不二のだっけ?」

「じゃあその男の彼女だった方か良かった?」

「いや、不二のでいいです。」





にこ、と不二は笑った

さっきの男よりも恐ろしい

笑顔が眩しすぎる、怖い





「不二。」

「ん?」

「私なんでフられたのかな?」

「踏みつけて欲しかったんじゃない?」

「なんのこっちゃ!」

「そうだね。踏みたいのは僕だもん。」

「え!?」

「二度と立ち上がれないくらいにね。そいつを。」

「あ、ああ…」





にっこり、とまた不二は笑った

私は完全に引きつったスマイルを返しておいた

美しい花には刺がある

不二の場合図太い毒塗りの刺かだろうなあ






「不二。」

「何。」

「あー…これ。」

「手紙?またさっきの?」

「いや、これは私からなんだけど…印象悪くなったね。」

「…から?」

「うん。」

「読んでいい?」

「声に出してね。」

「…?」






ピリとシールを剥がし

不二は言われた通り中から手紙を取り出した

そこにはただ一言





「「誕生日おめでとう。」」





声を重ねて言った





「閏年なんて、最高に不二に似合ってるよ。」

「…ありがとう。大切にするね。」

「そうしてくれると、嬉しいかも。」





にこりと今度はちゃんと微笑む、少し照れくさい

でも不二も微笑み返してくれた

手紙も捨てたもんじゃないでしょ











追記




ぶっちゃけ私不二に惚れてます。

ちゃんと伝えてませんけど。




でも先日下駄箱で一人ぼやいたのは覚えてます

「(やっぱ不二のこと)すきだなぁ。」と




どうやらその時、その勘違い男がいたようです

…お前やないねん。




周りが見えてないって危ないな

不二にちゃんと告白するまで気をつけよう




とか思ってたら次の日

何故か付き合うことになってました

うん、手紙も捨てたもんじゃないな










end