崇拝宣言
「やっぱ、あの目ん玉欲しい。」
「…もう少し、遠まわしに言えねー?」
「…えー…彼の瞳はまるで宇宙から見た地球のよう…ああ是非この手にしたい…!」
「あはははは!」
何よちゃんと言ったのに
膨れ面でそうつぶやいて目の前に座る岳人を睨んだ
岳人は馬鹿じゃねーのと涙目で言った
私が言ってる目ん玉とか地球とか言うのはあれである
キングこと跡部景吾のブルーアイ
「本当に綺麗だったんだってば!近くでみたら。」
「よく近くで見れたな。話かけれねーのに。」
「うん。廊下ですっころんで顔あげたら、跡部様がいた。」
「すげえ馬鹿にした目で見てる跡部の様子が目に浮かぶ。」
「え、馬鹿にされてたの?」
「手でもかしてくれたか?」
「まさか跡部様が私なんぞに!」
「・・・その様ってのやめねえ?」
「だって崇拝してるんだもん。」
跡部景吾を初めてみたのは
友達に誘われていったテニスの試合で
技というか台詞というか…とにかくなんか凄かった
こんな人間がいたなんて!
ドキュン☆と心を打ち抜かれました
(友達はなんか白い目で見てたけど、彼も私も)
「あの日から私は彼を遠くから崇拝することにしたの!」
「あー・・・そう。報われるといいな。」
「報われることなんて期待してないもん。」
「それじゃあ面白くねえじゃん。」
そりゃ岳人は、彼と同じ部活だから
とにかく私は本当に報われる気はない
遠くから眺めていたいだけ
だって私なんかが近寄れるわけがないのだから
テニスはめちゃめちゃうまい
200人もの部員をまとめ
成績優秀
容姿端麗
しかもお坊ちゃま
完璧すぎる彼
「あ、岳人おった。」
「侑士、なんだよ。」
「英語の辞書貸して。」
「あ、忍足君だ。」
「ん?ごめん誰やったっけ?」
「はじめましてです。」
ふらと、岳人を訪ねてきた彼
跡部様と同じくらいの人気を誇る忍足君
でも多分話すのは初めて
「侑士、こいつね、最近跡部を崇拝し始めたんだって。」
「最近?今までしらんかったん?あの跡部を。」
「興味なかったんだって。でも今はこんなん、キモい。」
「こんなん…てか、崇拝て?」
「キモイって酷い。キモくないよ。跡部様が完璧すぎるのがいけないの!」
「跡部様…」
「なーキモいだろー」
そんなにおかしいのだろうか
あれからもう四六時中跡部様が思い浮かぶ
脳裏から離れない
でも別に話したいとか後をつけたいとか(危険)
まして付き合いたいなんて思わない
だって釣り合わなさ過ぎるから
ただ憧れていたいだけ
他の女の子達みたいにまとわりつく気はない
あくまで遠くから…崇拝するのだ
もしかしたら、ただこんな状況を楽しんで
無理やり彼を完璧に描いているのかもしれない
恋に恋する、みたいに
でもそれでも彼を見ていると楽しいのは事実
あの自信に満ちた笑みは私にはできない
本当に、素敵過ぎる
「岳人もなんだかんだ人気あるから、私の気持ち分からないんだよ。」
「いやキモいけど、、顔は可愛いぜ。」
「キモい余計だけど。可愛くもないよ。」
「いや、お嬢さんカワイイで。」
「…ど、どうも。」
なに、褒めても貴方には惚れないよ!
ちょっとドキッっとしたけど!
とにかく
「話かけたらええやん。」
「俺もそう言ってる。取り持ってやるって。」
「案外気にいられんちゃう?ちゃんなんやおもろいし。」
「跡部様に気に入られるなんてとんでもない!」
「…」
「私なんかが近寄れる存在じゃないの。」
「ほぉ、そんなにイイ男なのかよ。」
「うん。今まで男の子は同じに見えてたけど彼は違うの。」
「へぇ、跡部、様、がか?」
「そう、様が似合う・・・・・・・・・ん?」
岳人でもない、忍足さんでもない声に気づき
私その声が聞こえる方へ顔を捻った
そしてそこに立っていたのは…崇拝している
「あ、あ、あ、・・・あと、」
「あ?どもんじゃねーよ。さっきまでの饒舌はどこいった。」
「ま、ま、・・・・・・・・」
「よーどした〜大好きな跡部サマだぜ〜」
面白そうに成り行きを見守っていた岳人が
面白そうに口を挟んできた
けれど、私の口から出た言葉は
「まぶしい!!!」
岳人も忍足君も固まってるのが分かる
でもそんなことどうでもいい
私はそのまま机に突っ伏した
「…、まぶしいって…跡部は神か?後光でも見えんのか?」
「ちゃん重症やなぁ。ホンマおもろい。」
「神なんてそんな…跡部様は跡部様…」
「…なー跡部、おもろい子やろ?ちゃんとメール読んで来てくれてよかったわ。」
「普段なら無視するところだけどな。」
「…すんなや、まぁええけど。」
「変なやつだろーお前の事崇拝してんだって!」
「岳人!」
思わず突っ伏してた顔を上げ突っ込んだ
崇拝は事実だけど、本人目の前に言われれるのはさすがに
けれど、ちょうど、彼と、跡部様と目が合ってしまった
「…お前、この前廊下ですっころんでた女だろ。」
「え、覚えてるんですか!?」
「あぁ見事に何もないとこでこけて、呆けた面で見上げてたからな。」
「え、あ、ありがとうございます!」
「「いや、感謝するところじゃねーよ(とちゃう)」」
岳人と忍足君がハモり、跡部様は面白そうに軽く声を上げて笑った
それにうっとりしつつ、まっすぐ彼を見つめる
そしたら、彼は笑みを引いて
…いつものような自信に満ちた笑みに変えて言った
「今度から様をつけるんじゃねぇ」
「えっ?」
「崇拝もなしだ」
「ええっ?」
「その代わり下僕にしてやるよ」
「下僕!」
「だから遠くから見てねぇで近くに来い、分かったな?。」
「…よっ、喜んで…」
どうやら
私は彼の下僕に昇格(?)したらしい
ああ本当にビックリ
言われたとおり毎日メールを送る
それから一緒に帰ったり、一緒に登校したり
お昼も一緒だし、部活も呼ばれて練習見に行ったり
しばらくして「それもう下僕じゃなくて彼女だろ」と岳人に言われた
「んなわけないじゃん馬鹿だなあ」と言い返したら
本気であきれたようなため息が返ってきた
それを跡部さ…跡部君に言ったら
「…今日から名前で呼べ、馬鹿。」
って言われた
end