!チョコくれぃ!」

「えっ何突然。」

「だってからのチョコが一番楽しみだったからー。」

「ブン太…じゃその紙袋いっっぱいのチョコは何かな?」

「これはコレ♪のが一番…」

「はい、義理チョコ。」

「…不服だぜぃ。」







部活後

皆が着替え終わった頃を見計らい部室に入る

案の定皆着替え終わってて

帰る仕度をしているところだった






「テニス部のみんなはチョコに苦労しないだろうけど…一応ね。」

「義理はいらんの。」

「じゃあげないよ、仁王。」

「複雑じゃ。」

「はい。みんなもどうぞー。」






そう言って柳や柳生、幸村、ジャッカル達に渡していく

ここら辺はとくに文句を言うこともなく

受け取ってくれるのだが





「俺先輩からの本命が欲しいっス。」

「本命じゃなきゃ無理ッスよ、赤也クン。」

「手厳しい…じゃあ先輩誰に本命渡すんスか!?」

「私に本命がいるって決定ですかー?」

「だってだってだってーー!!」

「知らんと思ったか。お前が義理とは別にもっとること。」

「!」






キッと私は、見透かした目で見てくる仁王を睨んだ

…コイツは、あのコトに気づいてるだろうから

まぁ他にも気づいてる人はいるだろう

一応まだきちんとは伝えていないその事実







「…そんなの、知りません。」

「ほぉ。赤也も見たじゃろ?」

「見た!誰に渡すんすか〜それっ」

「か、関係ないでしょっ!」




「――いい加減にせんか!」







ビタッと騒いでた声がとまる

ついでに私も

そして、ギギっと声がした方に首をまわす






「真田、そんなに怒鳴らなくても。」

「…幸村…皆着替えたならさっさと帰れ。」

「厳しいなぁ、ねぇ?」

「…う、ん。」






私は、無言で真田を見上げた

彼には、まだ渡していたい

…チョコ





「真田副部長ーまだチョコもらってないからって、そんな怒らなくても…」

「そんなもの、いらん。」

「またまた…知ってるんスよ!他の女の子からチョコもらってるのっ!」






ピクと、今度それに反応したのは

私の方だった

目ざとく、それに仁王は気づいた





「ほぉ、さすが真田。何気に人気あるの。」

「…。」

「まぁ俺は義理でもチョコもらえて満足じゃ。」

「それが、どうした?」

「別にどうもしとらんよ?真田はもらわんのか?」






ものすご―――く意地悪く、仁王は聞いた

でも私も少し、苛々としていたので

助けずに見ていたら、彼はさらっと言いやがった







「チョコなんぞ、くだらん。どうでもいい。」






ビキッと青筋がたったのが、自分でも分かる

自分でいうのもなんだけれど

私はそんなに可愛らしい性格はしていない、だから






「…真田。」

「…なんだ、。」






物凄く低い声で呼んだのにも関わらず

少しの間だけおいて返事した彼

思わず、つい、いらっとして







「既に女の子にもらってるからいらないでしょうけど」

…?」

「よかったらどうぞ!」






鞄から取り出した

みんなにあげたのはちょっと違うそれを

私は思いっきり彼に投げつけ部室を飛び出した






「…」

「…このまま彼女を放っておいたらどうなるか、予想いいましょうか?」

「柳…いらん。」

「なら、早くいくべきですよ真田。」

「柳生………分かっている。」

「世話が焼けるなぁ」






幸村の言葉は無視し

真田は鞄を取り、部室から出て行く

ついでに、仁王に睨みを聞かせるのを忘れずに












「え?え?どゆこと丸井先輩。」

「え、俺も分かんねぇ。どゆことジャッカル。」

「まぁ、そういうことじゃねぇの?」

「はぁ?」

「あぁあつまらんの」







そんあ彼らのぶやきと

あきれたようなため息を残して


























!」

「…真田。」

「――――すまなかった。」

「こちらこそ、どうでもいいもの渡してしまって。」

「…そんなに怒るな。」







ぐっと、そっぽを向いていた私を

真田は引き寄せた

そう、私と彼は、実は付き合っているわけで







「他の子からも貰ったんでしょ…いらないんじゃん、それ。」

「逆だ。お前の以外いらん。」

「…嘘。」

「俺がお前に嘘をついたことがあるか。」

「…だって、ないけど、さっき…」

「さっきは連中の手前、あんなことを言ってしまっただけだ。」







彼の言葉に

伏せていた視線を

やっと上にあげる







「それ、もらってくれるの?」

「当たり前だ。」

「手作りだから…マズイかもしれないよ。」

「たとえ不味かろうが、そんなものは関係ない。」

「…そっか。」







やっと笑顔が出た

彼らしい真っ直ぐな、曇りない真摯な言葉が

やっぱり嬉しくて







「仁王にノせられてちゃダメじゃん。」

「そうなんだが…」

「ちゃんと皆に言ってないせいもあるけどね。」

「…いや、俺もまだまだだな。」

「え?」

「らしくない、嫉妬してしまった。」

「…義理チョコに?」







本当にらしくない、らしくない彼の言葉に

私は思わず、きょとんとして

いつにない

照れを醸し出した彼の表情を見つめた








「…おかしいか。俺がこんなことを言っては。」

「…いや、えっと、なんか、嬉しい…」

「そうか。」

「真田でも、やきもちやくんだ。」

「当たり前だ。」

「…それ、食べてね。頑張ったから。」

「あぁ。ありがとう。」








彼の表情が柔らかくなる

この表情が見られるのは

きっと私だけだ








彼の手をとって

歩きだす

いつも以上にくっついてみたりもした










「ねーさな…弦一郎さん、私のこと好き?」

「…今更、何を聞く…。」

「だって聞きたくて。」




「――――――――当然だ。」










はっきりと、言葉はもらえなかったけれど

つないだ手と、何よりその表情に

私は満足した



界は今日もピカピカです