に浮かされた人







暑い

暑い

熱い、私のデコが




暗転










「バカじゃねぇのお前。」

「だったら…なんで、わざわざ保健室まで運んでくれるかな…跡部君。」

「バカみてぇだろうが、このクソ暑ィ中体育なんてしてられっか。」

「…保健室で涼む為?」

「あぁ、わかってんじゃねぇか。」




そう言って彼は笑う

暑さにやられてぶっ倒れた私を保健室に運んだ彼

そこまでは(つか黙ってりゃ)素敵な王子様だったのに





私は知ってる

コイツは外面がいいだけの

すっげぇ口の悪い王子様





「ショボ…金かけろよ、保健室のクーラーくらい。」

「寒…保健室の先生来たら怒られるよ?勝手に温度設定いじって。」

「は。謝りゃいいんじゃねぇの?」





そう言って彼は笑う

謝るの意味、絶対間違えて覚えてる

それが謝罪しようってヤツの顔か





むしろ女を陥れる狼の顔だろうが

あぁなんで女はそれに騙されるのだ

あぁなんで神様はソレをカッコイイ顔だと認識する人の美的感覚を御造りになったのか





「意味わかんないな…私。」

「あー?」

「…あー跡部君、寒いんだけど…てゆか、もう大丈夫だから私授業に戻る…」



「いかせるか、バカ。」




そう言って彼は笑った

―――そして、お願いだから

今私をベッドに押さえつけてるその両腕を離してほしい

誰かきたらどうする、これ襲ってますポージングだよ




「あついんだよ。」

「はぁ…暑い、ですね…あぁつまり私がここにいなきゃ、涼む事が出来ないと…」

「…。」

「何…その不愉快そうな顔、そうでしょ。分かったから離して。」




ぎり、ぎりぎり

ちょっと、ちょっと爪食い込んでますって

痛いから、何、なんなの私怒らせた?





「アツイ。」

「だから、分かったって…子供じゃないんだから…」

「…お前、何で普通なんだ。」

「は?いや、暑いけど、そもそも私が倒れかけたのも」

「保健室に二人っきり。しかも俺がお前を助けた。他の女だったら絶対色目使うココで。」





クソまじめな顔で彼はそう言った

笑ってなかった

もう爪は食い込んでない





「――他の女と私が何で同じ事すると思うの。不愉快。」

「ふ……く、くく」

「ちょっと、顔肩に埋めながら笑うな!離れてって!」




意味わかんない、この人

え、跡部景吾だよね?

あの俺様だよね?





「俺はお前がいい。。」



「…は?」





熱にやられたのは

このひとの方だ絶対

ああ、あつい、何もかも









end