の笑顔があまりに眩しくて









氷帝学園三年、帰宅部やってます

今日も元気にアルバイト

ファーストフードって高校生も働けていいよね




元来めんどくさがりやだけど

仕事モードに入れば

どんなお客さんだろうとどんと来い




ガー(自動ドアの音)




「いらっしゃいませー」




ごめんなさい私嘘言いました




なんでアイツ(客)が!?

無理だよアレ(客)の相手!

同じ氷帝学園三年、無駄に有名な彼

跡部…景、吾だっけ?そうそれ




うわあファーストフード絶対こなさそうなのに

なんか苦手なんだよあの人

派手だから




ってもしかたない

仕事だ

絶対私の事知らないだろうし





「…店内でお召し上がりですか?」スマイル

「…いや…」

「お持ち帰りですね。ご注文をどうぞ。」スマイル2

「…」





ああほらこの感じ、慣れてない感じ

お坊ちゃまだもんな(噂で聞いた)

毎日家でフルコースだもんな(噂で聞いた2)





「…」

「…」

「…」

「…」




つかシンキングタイム長ぇ




笑顔たもつの結構辛いんだよ(本音)

眉間に皺よせて何をそんなに悩んでいるのだろうか

ここに来たの罰ゲームだろうか(ぽい)



としたら本当に悩んでるのかー

あーそれとも日本語メニューじゃ駄目かー

イングリッシュじゃなきゃ駄目かー(裏面に英語あるよ)





「…お客様、宜しければこちらの期間限定商品はいかがですか?」

「限定…?」




いつまでも待つわけにはいかないので

私はちょうど良い限定品を勧める

(私も早く終わらせたい)





「はい、こちら明日までの販売になっておりますので」スマイル3

「あぁ…そういえばそんなこと言ってたなアイツら…」

「はい?」

「いや、じゃあコレでいい。」

「かしこまりました。」スマイル4




ピと私はレジのボタンを押す

よしいい感じだ

顔覚えられる前にさっさと済まさないと




「サイドメニューは何になさいますか?」

「…は?」

「サイドメニューにポテトかサラダが御座います。どちらかお選び下さい。」スマイル5

「…」




メニューを指さし丁寧に誘導していく

ああこれ案外レアなんじゃないか

悩んでる彼とか

いや、よく知らないけど




「サラダでいい。」

「ドレッシングはゴマとフレンチが御座いますがどちらになさいますか?」

「…フレンチ。」

「かしこまりました。お飲み物をこちらからお選び下さい。」スマイル6




だんだん面倒くさそうな顔をしてきた彼

私は負けずにニッコリ笑顔を貼り付けたまま

ことさら優しい口調手つきでメニューを指す





「ブレンド。」

「はい、ブレンドコーヒーですね。他にご注文御座いますか?」

「いや、ねぇ。」

「ありがとう御座います。お会計xxx円で御座います。」スマイル7




ブレンドと頼まれた瞬間、

かわいくねぇと思ったことは胸に秘め

ニッコリ笑顔で丁寧にお辞儀をした




出来上がるまでちょっと席で座って待っててもらう

少し時間を置いてから

私は袋に入れた商品を確認し、彼の元へ





「お客様、大変お待たせ致しました。」

「あぁ…」

「ありがとう御座いました。またお越し下さいませ。」スマイル8




がー(自動ドアの音)



はい、終了

なんか疲れた

無駄に疲れた




あぁにしても跡部景吾…

中学生のくせにオーラが尊大だなぁ

頭下げることに違和感がなかったってどうよ?




まぁとりあえず完璧だった、笑顔もなにも

がんばった、えらい自分

よしあとちょっとで終わり、頑張ろ




そうこの時は私はまだ知る由もなかった

この完璧こそが

この後の珍妙な展開を生み出す原因となってしまう事を




なんて











「あー昨日昨日はびっくりしたなぁ…」




あくびをしながらぼやく

私は今朝も、いつも通りの通学路を歩いていた

といっても今日は特別に早めだ




目覚まし時計の設定時間を間違え

三時間も早く大音量にたたき起こされた

ついでに家族にもキレられたので、早めにでてきた




「やー早起きは三円の得っていうしね!」



「三文だバカが。」




え、誰

今 爽やかに喧嘩うったやつ

私はくるりと後ろを振り返る




ああ…

昨日セット買うのに凄くオロオロしていた跡部景吾だ

(捻じ曲がった記憶)




「バ、バカって失礼な…」

「せやーせめてアホいい跡部、なぁ。」

「げ。忍足おはよう。」

「げって何やげって。この朝っぱらからアホが。」

「何朝っぱらからアホって。なんかこの上なくアホっぽい。」




相変わらず朝から喧嘩をうってくるのね

このエロ伊達メガネが(エロは偏見)

彼はクラスが同じせいでたまに話をする程度なのだが




「侑士、誰?」

「んー同じクラスの、やった?」

「ナイスな紹介ありがとう。この似非エロメガネ。」

「あはっなんかお前面白いな!俺向日岳人―よろしく!」

「コラ俺今けなされたっちゅーねん、のん気に仲よーすなや。」

「黙れエロメガネ。よろしくね向日クン。」




喧しい忍足を一喝して

このちっちゃくて可愛い子に私はバイトばりの笑顔を振りまいた

素直そうでいい子だ、なんて呑気に思っていたら






「おい。」


「ッはい!ごめんなさい!」

「何謝ってんねん。…跡部どーしたん?」





しまった、思わず謝ってしまった

なんかあまりに尊大で、態度が

って本当に何故そんなに私を凝視してるの




え?

まさか気づいた?

昨日の店員が私って…



いや、ユニホームを着ると雰囲気変わるし

今髪下ろしてるし、メガネだし(ダテだけど)

そもそもそんなに目も合わせてなかった






「お前、昨日の店員じゃねーか。」





バレてますねー

うわー

最悪ー




友達とか顔見知りにバレるのは嫌なのに

絶対からかいにくるから

通学路の反対側だから油断してた




「えっ店員って?」

「…昨日跡部がジャンケンに負けて罰ゲームで行ったファーストフード店?」

「うわ、そこでバイトしてたん?先いいやー行くのにー!」

「…ちッバレたし…(しかもジャンケンって何だお前ら。)」




思わず私は舌打ちをする

面倒くさいヤツらにバレた

うわマジ絶対来んな




「おい、お前。」

「え、お前呼ばわり?私?さん?」

「自分でさん付けしてんじゃねぇよ。」

「悪かったな!」




あなたはその尊大なオーラを

もう少し抑えろ!

なんか怖い!




「…で、そうなのか?」

「あーもーそうですー」

「…」

「あ、昨日のが不味かったとかいう苦情はやめてね。」

「…違う…」

「だって作ったの私じゃないから(最低)」



「……………詐欺じゃねぇか。」



「はぁ?何が詐欺だっ」




そして同時に忍足と向日君が爆笑しだした

思わず怪訝な顔で二人を見る

え、何がおかしいの?




「え、何?失礼なんだけど、何笑ってんの凸凹コンビ。」

「くっ…ハハ…凸凹コンビはやめ…や。」

「笑うか突っ込むかどっちかにしろ!」

「マジうけんだけど!あんな、昨日跡部g 「黙れオカッパ」 」




跡部様のどこが切羽つまったムゴイ突っ込みで

何か言いかけてた向日君がぎゃーぎゃー騒いでいる

やっぱあれオカッパなんだよね、可愛いけど




「忍足、向日君何言いかけたの?おかっぱなの?」

「あの罰ゲームの後、跡部の様子がおかしかってん。おかっぱやで。」

「へぇ、おかしいって?どうやって切ってんのかな。」

「あんなぁどうやら跡部はの事な…クク。おかんとちゃう?」

「え、なに?うわぁママン凄いね!」




「お前ら俺の話か跡部の話どっちかにしろッ!!!」




涙目で向日君に突っ込まれた

ごめん




「忍足…てめぇ言ったらどうなるかわかってんだろーな。」

「おー怖。いわへんよー。」

「え、ちょっと忍足、気になるじゃん!教えてよ!」

「黙れ。」




早速呼び捨てかよ

しかも黙っちゃったよ私…!

だって跡部様怖い…!!




で、そんなこんなで結局聞けなかったし

忍足はキモイ笑いしてるし

向日君は半べそだし

何だったんだろう一体




そう思いつつ

私は彼らを朝練へと見送った














そしてそのまま授業が始まる頃には

スッカリそのことを忘れていたが

HR後に忍足に話しかけられたことで再び思い出した




忍足はこう言った







「あんな、今なら跡部おらんから言うけど、」

「ん?あーあー何?」

「跡部、昨日お前の接客受けたやろ?」

「そうだねぇ」

「惚れたらしいんや。」

「へー……………………は?









私が間抜けな顔で固まってると

また忍足が笑い始めた

うざい




続けて忍足によると

どうやら跡部君は昨日の私の態度と笑顔が気に入ったらしく

けれどあまりに声色と態度が違う為、詐欺だと訴えたらしい




「すごいなーあの跡部を惚れさせたんやでー」

と忍足がのん気に言っているが

「ソレは虚像の私だ、忘れろ。」と伝えてくれと忍足に言っておいた




その日の放課後

何故か再びバイト先に跡部がやってきた

次の日も

次の日も




鬱陶しくて仕方なかったが

だんだんと、何故か慣れてきて

普通におしゃべりするようになっていた






何故か

付き合うことになってた

え、マジでなんでだろう






「はっ俺にはいつもその笑顔をむけときゃいいんだよ。」

「…俺様…」

「ア?何か言ったか。」

「…なんでもないでっす。分かりましたよ、跡部様。」








end