ガネコンプレックスlast








暫く無言の空間が流れた

忍足の次の言葉が怖かった

でも言ったことはもう取り消せない




それから

十分間をおいてから

忍足は短く切り出した




「ごめん。」




と、もう一度




「ごめんな。」




私はきょとんとしながら

忍足君を見上げた

すごく悲しそうな顔をしていた




そして




「俺、のこと好きやった。」




これもまた十分間をおいてから

ごくりを生唾を飲み込んでから

私は声を発した




「な、に、言ってるの?」

「せやから、が好きだった。」

「…何、言ってるの?」




同じことを繰り返した

それくらい意味が分からなかった

そしたら忍足がこう言った




「少し、俺の話も聞いてもらってもええ?」

「…。」

「口、挟んでも構わんから。」

「…うん。」




忍足は話だした

ゆっくり淡々と

私より全然冷静にだけれど




「まず、全然ちゃうってのは、の思ってる意味と違くて。」

「…あの時の、言葉?」

「俺は別に意味ないねん、この眼鏡。」

「…」

「でもはな、なんか意味がある気ぃしてん、」




意味…確かに

意味はある、自分を隠す為に

でもそれが?




「ただ、知りたかっただけやった。」

「知りたかった?」

「それ知ったら、もっとに近づけるんやないかって。」

「…」

「だから、キッカケが欲しくて、」




でも、言い方が悪かった

結局それ以上話すこともできなかったし

そう言い、忍足君はまた続けた




いつも縛っている髪

厚い眼鏡

たまに見せる、どこか怯えた様子




けれど話しかければちゃんと応えてくれた

楽しく会話もできる

むしろ他の女子より静かで落ち着いていて話し易い




の傍は落ち着く

いつからかそう思っていた

席替えなんていらないと思った




でも、いつからだったからか

避けられるようになった

原因もわからず、クラスも変わってしまった




もやもやした気持ちのまま

を見かけることは前以上になくなった

気になっていたが、捕まえて話すことも出来なかった




けれど、そんな時

屋上で久しぶりにあった

けど避けられてる事を確信しただけだった




あの後、ジローと仲いいことを知って

ジローに何か知らないかと聞いた

けど「そっとしておいて」と言われただけだった




「…んで、俺も同じように今ここにいるっちゅーわけ。」




呆けた顔のまま私は忍足を見上げていた

ジロー君に、聞いた事は初めてしった

告白された事も知ってるのかな…今は関係けど




「…そっか、やっぱ……勘違いだったんだ。」

「誰が好きな子に、ンな酷いこと言うん?」

「…だって、」

「…せやな、俺も悪かった。あん時の様子に気ぃついとったら。」

「ううん、ごめん。」

「いや、ほんまにごめん。」

「いいの、ごめんね。」

「…」

「…」





暫くいい合ってから、吹いた

顔を見合わせて笑った

なんだかおかしくなってきて




…そして私は気づいたことを

忍足に伝えた




「忍足君。」

「?」

「今までごめんなさい。貴方のせいにして。」

「…」

「でもやっぱ私は忍足君のことが好きなんです。」

「…俺も、一年の頃から好きやった。ごめんな。」




コンプレックスは解消された

好きだった人に好きと言われた

とても、嬉しかった











「…髪も目も、やっぱ自前なんやなぁ。」

「うん。」

「綺麗やなぁ。」

「…。」

「照れとるん?」

「…照れてないよ。」

「さよか。」

「…なに笑ってるの。」




隣になった席で

そんな話をしていた

昨日までこんな風に話せると思ってなかった




そして、ふともう一つ気になってることを聞いた

ジローに告白されたこと

そしたら、彼は無表情で立ち上がりどこかへ消えた




そしたらへらへらろ笑ってるジローを引き連れ

教室に戻ってきた

きょとんとその様子を見つめる




「聞いとらんぞ、ジロー」

「あはは言ってないし〜」

「言えや!」

「それより忍足もの事好きなんだなあって気がついちゃって。」

「…」

「てか、告白したの、忍足に相談される前だったもん。」

「…そーかい。そら感謝せなアカンな、色々。」




フられたとは言え

好きだった子との間を取り持ってくれた彼

私も本当に感謝してる




「ありがとうね…ジロー君。」

の笑ってる顔が見れて俺幸せ。」

「…ちょ、ジローええか、感謝はほんましとるけどな…」

「してるけどー?」

「…何でもない…です。」





どうやら私たちは

当分彼には足を向けて寝れないみたい









end