3分キューピット









「あれ跡部、おらんの?」

「見りゃ分かんだろ。」

「え、何で一緒じゃねえの?」

「知るか。…セットにするな。」

「保護者ついてへんとダメやろ。」

「誰が保護者だ。手前らがついてろ。」

「えー俺らには無理だってー」




昼食時、屋上

先にいた跡部に忍足と岳人が尋ねる

お昼を食べる為、テニス部員達が集まり出す




「お疲れさまでーす。」

「よー長太郎に宍戸。」

「あれ、今日いねーのか?跡部。」

「…だから、俺に聞くんじゃねえ。」

「ほっとくと危ねーんじゃねーの?」

「そんな宍戸さん。小学生じゃあるまいし。」


「「「小学生以外だろ。」」」




皆の声がはもる

話の主は不在

そんな時だった




キンコンカンコーン




ガガッ




『こほん。えーっと、あほべ…じゃない、跡部君、跡部景吾君。

 秘密バラをされたくなかったら至急…どこにしよう…ここでいいや、

 放送室に来なさい。3分以内に来なかったら大変なことになるからー!』




ガガッ



キンコンカンコーン…




「…。」

「…。」

「…やから捕まえとけ言うたやん。」

「侑士、すげぇな。の行動予想できるんだー。」

「いやそれほどでも。」



「あンの……馬鹿女!」




ばたんっ



どだだだだだだ…




「行ってらっしゃい跡部。」

「…あーそういえば、今日バレンタインやなぁ。」

「何今更。さんざん朝からチョコもらってんだろ。」

「せやけど…あー…いいなぁ跡部。」

「…?」










どだだだだだだ




〔放送室〕




ばん!!!!





「何やってんだてめぇは!!」

「すっごい!さすが跡部!3分ジャスト!」

「放送室を私物化するんじゃねぇ!廊下で困ってたじゃねぇか!」

「あはは放送部って優しいね。快くかしてくれたよ?」

「…何つった。」

「『かしてくれなきゃ、跡部が怒っちゃうよ。』」





パシッと小気味いい音が響いた

私は痛みに頭を抑える

そして膨れてみる




「…なんだその顔は。」

「不服。…でも幸せ。」

「…は?」

「実験してたの。」

「実験…?」

「ウルトラマンは3分しか戦えません。」

「は?」

「カップラーメンは3分でできます。」

「…何が言いたいんだ、お前は。」




ガラガラと、座っていた椅子を動かし

仁王立ちする跡部に近づく

そしてピッと三本指をつきたてた





「3分はとても大きな意味をもっています。」

「は?」

「だから」

「…」

「3分以内に跡部が来てくれたら、跡部は私を好きだということになる。」

「…全く根拠がねぇな。意味不明だ。」

「…ふうん、じゃ間違ってる?」




暫く、間

跡部は、私と視線を合わせたまま

小さくため息を吐いた、思いっきり呆れ顔で




「あぁ、好きだ。」

「え?」

「それがどうした。」

「…え、えっと、」

「お前が好きだから、ここまで来てやったんだ。3分で。」

「…あ、跡部さん?」




跡部は私のデコを抑え

後ろへポンと押した

ぐらりと私の体は揺れる




「俺の横から勝手に消えるな。」

「…」

「常に俺の傍にいろ。」

「跡部の、となり…」

「じゃねーと、何しでかすかわからないだろ。」

「…あぁ、そういう意味ですか…」

「お前はどこだって、忍足達も煩え。」

「そんな理由ばっかりっすね…」

「それから」

「次はなんだよ…」





好きって言ってくれたのは、やっぱ冗談かと

しゃべり続ける跡部を見つつ

悔しいから口答えしようとしたら





何故か口をふさがれた

じっと、青い目が見てくる

「それから」なに?目で、睨みながら言った




「俺がお前に居て欲しいからだ。」



「…」




ふんと、跡部は笑った

意表をつかれ過ぎて

何も言えなくなってしまった




「お前は、俺の隣が一番似合ってるんだよ。」

「な、なにそれぇ…私、そんなんなの?」

「だな。」

「ダメなのかぁ。」

「ダメだろ。」

「…ダメでいっか。」




ごそりと、鞄を探る

放送で呼び出したのは、ほんの冗談で

というか、本当はこっちが本題だったのだけれど…




「…跡部、はい。」

「あ…?」

「もう、朝からさんざんもらってるだろうけど。」

「…もしかして、お前これのために、」

「えへ」

「…えへ、じゃねぇだろ。」

「だって、そうでもしなきゃ、渡すスキないんだもん。」

「…。」





二人っきりで渡したかった

だから怒られるの覚悟でこんなことをしてみた

一応マネージャーだがあまりそこは利用したくなくて




「…本当に馬鹿だな、お前。」

「お前じゃないー。」

「…。」

「ん?」

「…さんきゅ。」

「…お礼、期待してる。」

「あぁ。楽しみにしてな。」




そう言って、ふっと笑った跡部は

やっぱ最高にカッコよかった

…放送部の人には後で謝っておこう








end